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「高校野球マンガ」50年の大変化に納得の理由 「プレイボール」「おおきく振りかぶって」そして令和は?

東洋経済オンライン / 2024年9月1日 13時0分

左から、ちばあきお『プレイボール』、ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』、クロマツテツロウ『ベー革』

日本が世界に誇る文化である「マンガ」。産業としても大きく発展し、今や単行本だけで月1000点以上が刊行されています。昔と違って、過去の作品を含む多くの作品が電子でも読める。となると逆に、どれを読んだらいいかわからない、という方も多いのでは?

そこで当連載では、令和の話題作と併せて読みたい昭和、平成の名作をテーマごとにセレクト。手塚治虫文化賞選考委員も務めるマンガ解説者の南信長さんが解説します。

昭和の名作『プレイボール』

この夏も甲子園球場で高校球児たちの熱闘が繰り広げられた。猛暑の中での開催には異論もあるが、5回終了後の「クーリングタイム」のほか、今年は初の2部制(午前の第1試合のあと、夕方から第2試合をスタートする方式)も導入。頭髪も昔のように丸刈り一辺倒ではなく、時代とともに高校野球のあり方も変化している。

【画像】昭和の名作『プレイボール』。野球エリートではない、普通の高校生たちが力を合わせて勝利をめざす

そんななか、高校野球を題材としたマンガもまた変化している。昭和、平成、令和、それぞれの時代の名作を読み比べてみよう。

昭和の高校野球マンガといえば、多くの人がまず『ドカベン』(水島新司/1972年~81年)を思い浮かべるだろう。高校野球史上最強の打者・山田太郎を筆頭に、クセ者・殿馬、小さな巨人・里中、悪球打ちの岩鬼など役者ぞろいの明訓高校と、これまた個性豊かなライバルチームが甲子園を舞台に大熱戦を演じる。押しも押されもせぬ昭和の名作だ。

しかし、ここではあえて地味ながら心に残る名作、ちばあきお『プレイボール』(1973年~78年)を挙げておきたい。墨谷二中野球部の奮闘を描いた『キャプテン』の初代主人公だった谷口タカオが、墨谷高校に進学したところから物語は始まる。

中学時代の無理がたたって指が曲がったままになってしまった谷口は、野球部の練習をフェンスの外から眺める日々。見かねたサッカー部主将の誘いでいったんはサッカー部に入ったものの野球への情熱は捨て切れず、結局、野球部に入り直すことになる。ボールを投げることはできなくても、打席に立てばとんでもない当たりを連発する谷口に、野球部の面々は目を丸くするのだった。

谷口が入部した時点の墨高野球部は、いつも1回戦負けの弱小チーム。部員たちも楽しく野球ができればいいというノリで、勝利への意識が薄い。そんななか始まった地区大会の1回戦で、対戦相手を事前に偵察していた谷口は、攻略法を先輩たちに伝える。最初は煙たがっていた先輩たちも、谷口のアドバイスどおりにすればそこそこ打てるし、もしかしたら勝てるかもという展開に、がぜんやる気を出し始め……。

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