45歳以上は知らない「学校で教わる"新常識"」 「家庭科の教科書」にギャップを埋めるカギ
東洋経済オンライン / 2024年9月3日 12時0分
リンダ・グラットン氏が新刊『16歳からのライフ・シフト』で提唱した、「人生100年時代に若者が準備すべきこと」。
家庭科の教科書の編修などを手がけ、若者の興味関心にも詳しい小林美礼氏の調査によると、学生の3人に2人は、人生100年時代に不安を感じているという。
7月6日に長崎県五島市で行われたリンダ氏の「16歳から100歳のためのライフ・シフト」の講義(記事は[前編・後編]を参照)を受け、外資系企業から「ほぼ日」に転職し、エール株式会社の取締役となった篠田真貴子氏と、小林美礼氏が対談した。分断される世代間の交流をどう進めていけばよいか、大人ができることは何かを語った。
学生の3人に2人が「100歳まで生きたくない」
篠田真貴子(以下、篠田): 「16歳から100歳のためのライフ・シフト」の講義では、著者のリンダ・グラットンさんが「人生100年、長生きは素晴らしいわね! マーベラス!」とおっしゃっていました。実際に中高生の家庭科の教科書の編修をされ、大学生に講義もされている小林先生は、どのように感じられましたか? 若者は「人生100年時代」をどう見ているのでしょう。
【図でわかる】これからの人生は3ステージからマルチステージに
小林美礼(以下、小林):今日の対談に先駆け、いま関わっている13歳と21歳の意識調査をしてきました。そこで「あなたは100歳まで生きたいですか?」と聞いたところ、3分の1は「100歳まで生きたい。人生に期待している」という回答だったのですが、3分の2は「そんなに長生きしたくない」という答えでした。
篠田:長生きに否定的な意見が3分の2ですか。これまで人類が長寿を目標に栄養状態を改善したり医療技術を発展させてきたりしたことを考えると、大きなパラドックスですよね。
小林:さまざまな調査機関のデータを見てもやはり、同じような傾向があることがわかりました。日本は「人生100年時代」を無条件に喜んでいる国ではないんですよね。
篠田:国によって差があるのですか?
小林:海外のデータと比べると、アメリカや中国などは、比較的ポジティブな反応が多いです。日本では、「老いて人の迷惑になりたくない」「お金の問題で困るのではないか」といった心配があるようです。
親世代が「失敗」を受け入れられない
篠田:日本の若者が長寿に対してネガティブなイメージを持つのは、いまでも「60歳で仕事を辞めて、そこから40年の無収入時代をどう生きるか」と考えてしまうことも原因のひとつだと思います。
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