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45歳以上は知らない「学校で教わる"新常識"」 「家庭科の教科書」にギャップを埋めるカギ

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 12時0分

さらに、生徒たちが、インタビューに応じてくれた人が喜んでくれるプレゼントを考えて作るという取り組みもしたのですが、「脂質を控える食事について調べてプレゼントした」とか、「ネックウォーマーを編んでプレゼントした」といった生徒もいて、こういう交流があるだけで、中学生も高齢者も幸福度があがると感じました。まず身近な人に関心を持ち、話を聞いてみる、そんなことの延長線上に異世代理解のヒントがあるような気がします。

家庭科の教科書が「ライフ・シフト」を教えている

篠田:異なる世代と触れ合う機会が減ったいま、学校カリキュラムの中で、そういった接点を作ることは非常に重要ですね。先生のご専門の「家庭科」では、どのようなことを教えているのでしょうか?

小林:いまの家庭科教育は、小学校や中学校から主体的に生活を創造する学びを系統的に積み上げていき、とくに高校では、「よりよい未来社会の構築に向けて、人生の設計に必要な知識やスキルを学ぶことができる教科」になっています。お子さんがいらっしゃる方は、ぜひ、家庭科を糸口に、毎日の生活課題の解決やこれからの生活設計について話題にしていただけたら嬉しいです。

家庭科は、自分や家族の生活を起点として視野を広げていき、生活の自立と共生をめざします。特に健康リテラシーや、自らの消費行動が社会や環境に影響を及ぼすという視点は重要です。生きていくにはお金もかかるからファイナンシャルを知る必要がある。働き方や男女雇用機会均等法の話、育児休業の話、税金や社会保障の話、最後は亡くなるときの相続の話まで、人生に必要なことを自分ごととして家庭科で勉強しているのです。

18歳成年になると、高校3年生でクレジットカードを作れますしローンも組める。家を借りることもできます。そういうことを前倒しに学べる機会になっています。未来の生活を拓く主体は自分であることを学びます。

45歳を境に生まれる「常識」のギャップ

篠田:家庭科がそこまで変わっているのは知りませんでした。私の世代は、女子は家庭科室、男子は技術室に行って、という時代。

小林:いま、40代半ばより上の方はそうですね。中学は1993年、高校は1994年から男女ともに全く同じ内容の勉強をすることになりました。技術も家庭科も男女共修です。

篠田:たしかに、息子が家庭科の授業の一環で、晩御飯を一通り献立から作るようなことをしていました。

小林:45歳以上の企業にお勤めの方々や、政治家の方々は、男女別々の内容の教育を受けてきた人たちですが、45歳より下の人たちは家庭科の男女共修世代。私は、このギャップが非常に大きいと思っています。

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