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台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 9時40分

とはいえ、対抗意識を丸出しにすべき存在でもなく、それよりも面白いことやビジネスにつながりそうなことは積極的に吸収したい、そんな若者世代を多く引き付けたと言われる。一部では中国国民党(以下、国民党)よりも中国寄りとさえ言われていた。

最大野党との共闘ばかりが目立った

中国との統一や独立ではなく、第3の道を模索し、是々非々で政策に向き合うと支持者が信じた民衆党。しかし、フタを開けてみると野党第1党の国民党との共闘・協力ばかりが目立っていた。このような状況に、民進党支持者らの間では「第2国民党」と揶揄する声まで聞かれたのだった。

しかし、現有政党に不満を持つ支持者らには、長く続いた民進党と政権への牽制として、当初の想定とは多少違っても耐え忍んできただろう。

しかし、そもそも政治とカネの問題とは無縁を掲げ、政党カラーも清廉潔白を表す「白」を政党カラーとして掲げ、多くの支持者を獲得した政党だ。根本的な部分で支持者らの信頼を裏切ってしまった状況に陥ってしまう。

民衆党のイメージが一気に悪化したと考えられる最初の事件が、台湾中部・新竹市の市長の高虹安氏の汚職事件だった。40歳の彼女は、2020年の立法委員選挙で当選、2022年の統一地方選で新竹市長に立候補し、当選した。

高氏には当初から汚職などのスキャンダル疑惑がくすぶっていた。しかし、2024年7月、汚職防止条例違反で有罪判決を受けたことで、民衆党支持者の間でも動揺が走った。

起訴内容によれば、立法委員在任中だった2020年2月から同年11月まで、公設秘書の給与や残業代を虚偽報告するよう秘書に指示。私的に流用していたという。これにより高氏を最後までかばい続けた柯氏と民衆党もイメージは大きく傷ついたのである。

民衆党の「いやしい」市長

さらに判決が出るまでにさまざまな情報がメディアにリークされ、高氏の発言も切り取られて繰り返し報じられた。それによって高氏は「いやしい汚職市長」のイメージが定着してしまう。

ちなみに立法院からだまし取った金額は46万3000台湾ドル(約215万円)としている。たったの9カ月の在職期間とはいえ、相当な額を搾取したことが明らかになった。

高氏は判決が出ると、控訴する考えを表明。同時に、民衆党を離党することを発表した。現在、法律により高氏は職務停止、副市長が代理市長として市政を担っている。仮に二審で逆転無罪となった場合は復職できるが、引き続き有罪となった場合は、市長職を完全に失うことになる。

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