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台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 9時40分

しかし、民衆党のショックはこれでは終わらなかった。いわゆる政治献金問題が次に世間を揺るがしたのだ。

民衆党の支持者らが柯氏や同党を温かく見守っていたのは、大義ともいうべき「旧来型政治からの脱却」、そして「政治腐敗との決別」があったことは先に触れた。

また、二大政党に対する歯に衣着せぬスタンス、明瞭なワンフレーズによる主張は若者を中心とする支持拡大に寄与した。しかし、他者に対して高い道徳レベルを要求する政治姿勢が、ブーメランのように自分たちに跳ね返ってくる。

2024年8月12日、台湾の監察機関を司る監察院は、2024年1月の総統選について柯陣営が提出した政治献金の会計報告に虚偽記載の疑いがあると指摘。捜査員を柯陣営に派遣して調査を開始したと発表した。

これを受けて柯陣営側も調査を開始した。会計士が選挙中の広報などを担当した3つの会社に、約1817万台湾ドル(約8300万円)を分配。さらに申告漏れや誤記が17件あったと発表した。

「白い」政党から「どす黒い」政党へ

しかしその後、さまざまな点で記載が不自然なこと、また責任が会計士1人にあるかのように発表したことに疑問が出される。さらに会見を開くたびにぼろが出たことで、社会から集中砲火を浴びる状況が続いたのである。

そして8月29日、民衆党は記者会見を開き、総額1937万台湾ドル(約8800万円)分の申告漏れや誤りがあったと発表し、柯氏は頭を下げて陳謝。「小規模政党では1人の党員が複数の職務を兼ねる必要があり、チェックが行き届かなかった」と述べ、調査に協力するため3カ月間の離職を発表した。

ところが、総統選の得票に応じて支給される交付金で不動産を購入していたことが判明。支持者からは「自分たちの貴重な1票が搾取された」と思われた。クリーンがウリの白い政党はすっかりどす黒くなってしまったのである。

そして歴代の台北市長も慎重に対応していた土地開発問題に、柯氏が関わったのではと疑われているのが京華城事件である。

台北市の東部に、2019年頃まで球体の建築物がシンボリックな京華城ショッピングセンターが開業していた。

ここは日本統治時代に台湾人が創業した大手鉄鋼メーカーの工業用地で、場所が市内にあっては広大なことから、さまざまな用途が模索された土地だった。

1987年に、威京グループが13億台湾ドルで購入すると、工業利用ではなく多目的用途に変更しようと計画する。この頃の台湾は経済成長の真っただ中にあり、人々の購買力が大きく上昇していた。今日、台北百貨店のモデルともいわれる日系の「そごう」が進出した時期とも近い。

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