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台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 9時40分

1989年、現在の国民党の長老の1人である吳伯雄氏が台北市長だった頃、台北市は威京グループに同地の3割を公共施設として市に寄付するように要求する。さらに土地は周辺の開発に合わせ商業利用のみとし、住宅には使用できないことを求めた。

不可解な「容積率引き上げ」

当初、威京グループは市の3割寄付の要求に強く反対していたが、後に総統となった陳水扁氏が市長になる頃には、3割の土地を「台北偶戲館」という公共施設として市に還元することを進める。

ちなみに偶戲とは人形劇のことであり、台湾の伝統的な人形劇を世界に紹介する施設だ。そして、京華城ショッピングセンターも建設され、台北市で初めて工業用地が商業用地に変更、さらに商業施設が建設された例となった。

一方、2011年になると、威京グループは京華城に高級住宅地の建設を計画する。臆測だが、台湾の住宅価格が高騰していた経済情勢と関係していると考えられる。そして威京側は土地利用区分を住宅用地に変更するよう市側に申請する。

台北市側は専門の調査チームを組織して土地利用変更について各種調査を開始した後、住宅地への変更は可能だが土地の3割に限ると結論付ける。

実のところ商業用地から住宅用地への変更も台湾史上初の例だったが、威京グループは市に容積率を560%に引き上げるようにも要求したのだった。しかし、当時の郝龍斌市長ら市側は威京グループの要求を拒否。監察院も加わって調査や意見する状況に陥ったのだった。

柯氏が市長になると、監察院は住宅用地としての容積率560%を認める。それを受け市側も威京側の要求を受け入れることとなった。

ところが2021年、市は容積率560%どころか840%への引き上げを認めたのだった。

2023年、現在の蒋万安市長が市議会で議員からの引き上げ疑惑の指摘に応え、専門調査チームを結成し調査を始める。翌年には台北地検が汚職などの容疑で捜査を開始し、柯氏も取り調べ対象者としてリストアップしたと伝えられた。

8月28日、地検は威京グループ主席の沈慶京氏と国民党籍の台北市議員である応暁薇氏を呼び出して取り調べ、翌29日に勾留を申し立てて面会を禁じると発表。そして31日、柯氏も逮捕、勾留申請が出されたが、9月1日深夜に申請は却下された。

幻だった「第3勢力」民衆党

8月29日の記者会見での柯氏の謝罪を受け、社会民主党所属で台北市議員の苗博雅氏は「『第3勢力』という看板は柯市の隠れ蓑ではない」とメディアで喝破した。

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