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「人口8%増」豪州の超田舎町を訪ねたら凄かった 「産直」ならぬ「人が産地へ」が地方再生のカギに

東洋経済オンライン / 2024年9月4日 11時0分

地元の人も都市からやってくる人も笑顔にするのがガストロノミーツーリズム(写真:筆者撮影)

地方の人口減に歯止めがかからない。それは日本だけでなく、世界的な傾向といえるだろう。

【写真で見る】田園風景が広がるオーストラリア・ギップスランド

そうしたなか、地方再生を成し遂げているエリアがオーストラリアにある。メルボルンを州都とするビクトリア州の東南部に広がる「ギップスランド」だ。

超田舎の田園地域が8%の人口増

面積は約4万1000平方キロメートル。九州よりも広いエリアに住んでいるのは、わずか15万4357人。農場や牧場が広がる典型的な田園地帯である。

だが、この地域は5年間で約8%もの人口増を成し遂げた。

最寄りの大都市、州都メルボルンからは最短でも車で1時間40分。ベッドタウンとはなりえないこの地域で、なぜ人口増が起きたのか。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」お世話係の筆者が探ってみた。

【写真】九州より広い地域に人口15万5000人。田園地帯ギップスランドの産直の料理やグランピングの写真を見る(全14枚)

今回の取材で出てきたのが、「ガストロノミーツーリズム」というキーワードだ。

ビクトリア州政府観光局の職員は、「その(人口増の)理由は1つではないとは思いますが」と前置きしながら、こう言う。「ガストロノミーツーリズムの普及が大きいと、私たちは考えています。これは地方が再生するカギになるはずです」。

食の「背景」も含めて楽しむ

ガストロノミーとは「料理や飲料といった食事を、文化や芸術レベルまで高めて考えること」という。「ガストロ(gastro)」には「胃」という意味がある。

これまでは主に「都会人のための都会の高級レストラン」において用いられることが多かったが、現在ではそのガストロノミーにツーリズムの要素が加わり、地方を活性化する動きになっている。

ガストロノミーツーリズムがなぜ地方再生につながるのか。その理由を見ていこう。

ギップスランドの東の外れにレイクスエントランスという、人口わずか6500人ほどの村がある。まずはそこで、小さなレストランのオーナーシェフをしているマッツさんに話を聞いた。

まずはガストロノミーについて。世界的な食糧危機や富の集中が叫ばれるなか、ともすれば「金持ちのぜいたく」に聞こえる「グルメ」や「美食」への批判をかわすための、言い訳ではないのか?

「確かに、ガストロノミーという言葉はまだあいまいな部分があります。でも、私は個人的にはガストロノミーは食だけでなく、背景まで味わうものだと思っています」とマッツさんは話す。

景色や空気とともに食を楽しむ

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