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海外でも「貯蓄+公的年金」で豊かな老後は難しい 働く意欲が湧く「シンガポールの年金制度」

東洋経済オンライン / 2024年9月5日 7時0分

家計金融資産(1人当たり)の長期推移を見ると、アメリカでは2000年に約12万1600米ドルが、2022年に33万2135米ドルと約2.7倍に、スイスでは2000年に12万2665米ドルが、2022年には35万4352米ドルと約2.9倍に、スウェーデンは2000年に5万4511米ドルが2022年に21万5397米ドルと3.95倍に、日本では、2000年に約7万8000米ドルが、2022年に17万8945米ドルと、2.29倍に伸びています。

アメリカの金融資産の内訳を見ると、39.2%が株式、11.5%が投資信託で保有しています。同じく資産の伸びが大きいスウェーデンでも株式の割合が36.3%、投資信託が8.8%とリスク資産の割合が高いことが分かります。スイスやドイツに関しては株式の割合は高くないものの、投資信託の割合は高くなっています。

もちろん欧米企業と日系企業とでは長年蓄積されたインフレ率の差から給与水準の違いもあります。ですが、彼らは積極的に転職をする、女性も働いてダブルインカムを作るなどをして、収入を増やす努力もし続けています。結果的にたくさん消費をしても余裕資金が生まれるので資産運用にも回すお金ができるという好循環を作れているように感じます。

世界標準とは異なる日本人の老後に対する考え方

「老後2000万円問題」がメディアで話題となったこともあり、若年層の間でも老後が不安という方は多くいます。これまでの日本は先進国の中でも珍しく、年金だけでも慎ましく生活することが可能な国でした。しかし、少子高齢化から社会保障費の増大が財政を圧迫しており、将来は現在と同レベルの社会保障給付を受けることができるのかは不透明です。

しかし、多くの先進国では年金だけではそもそも生活ができない設計となっています。そのために、公的年金、私的年金、資産運用、老後の所得などをコンボにして老後プランを立てます。

極端な例ですが、公的年金の構造や仕組みが日本を含む多くの先進国とは全く違うシンガポールでは、賦課方式(世代間扶養)ではなく、積立方式(給与天引による自己積立)が取られています。

積立方式では、個人の拠出額全額が、自分の口座に積み立てられ、定年時に積立額全額プラス利子の受給が確保されているという特色があります。年金見込み額は積立額によって大きく異なり、現役時代の収入に大きく左右されます。

例えば、2024年に55歳になる方の65歳からの年金支給額は、積立額が20万シンガポールドルの場合、月額約1630シンガポールドルの受け取りです(2024年1月22日現在 標準プランの場合)。シンガポールの物価水準を考えると、年金だけで生活をするには相当慎ましい生活が求められます。しかし、アジアや欧米の多くの方は老後も収入を維持したり、それまでに資産運用をしたお金を活用させています。

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