今なお残る「富士重工製の鉄道車両」一族の系譜 2003年生産終了、独創的技術生かした気動車も
東洋経済オンライン / 2024年9月5日 7時30分
気動車はエンジンの力を台車に伝える推進軸が振子運動の邪魔になることから、スムーズに伸縮する軸を開発し、推進軸の回転と逆方向に車体が傾く問題は、2基のエンジンの推進軸を逆方向に回転させることで解決した。
自然振子で課題だった不快な揺れは、線路データを記憶させ、カーブの手前から徐々に車体を傾けていくことで抑制した。日本機械学会賞を受賞したこれらの技術は、その後JR北海道キハ281系、智頭急行HOT7000系などに引き継がれた。
しかしながら富士重工業の鉄道部門は、1990年代に入ると負債がかさんでいく。そこで同社は2002年、自動車を中心とした成長事業に投資をシフトし、鉄道車両は翌年を持って新規生産を終了すると発表した。
現在もLE-DCわ89形310番台2両を走らせる、わたらせ渓谷鉄道営業企画課からは「導入から30年以上を経ており、故障が発生しても交換用の部品を確保するのが難しくなっている」と維持についての苦労話も聞かれた。
とはいえ人材や技術が途絶えてしまったわけではなく、気動車製造におけるライバルでありながら経営破綻した新潟鐵工所の鉄道部門を引き継ぎ、IHIと日本政策投資銀行の出資により設立された新潟トランシスに引き継がれた。
生産終了も宇都宮には深い縁
新潟トランシスでは気動車だけでなく、LRT車両も得意分野としており、8月に開業1周年を迎えた芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)用HU300形も製造している。
かつて富士重工業が鉄道車両を送り出していた地で、技術を継承した会社の車両が走るシーンは、歴史を知る者には特別の感慨がある。
森口 将之:モビリティジャーナリスト
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