ヨーカドーが「第2のライフ」には多分なれない訳 「消費者を見ない姿勢」は変化の妨げになる
東洋経済オンライン / 2024年9月5日 8時0分
「ライフ」化を目指すイトーヨーカドー
8月末、GMS大手のイトーヨーカドーが、閉鎖するとしていた33店舗が判明した。これによって店舗数は93店舗になり、100店舗を切ることになる。閉店する店舗については、SNSなどでも話題で、「悲しい」「どうして」といった声が漏れ聞こえてくる。
【画像17枚】「人の姿はまばらで…」 46年の歴史に幕をおろす、とあるイトーヨーカドーの悲しすぎる”現在の姿”
ヨーカドーは近年の業績不調に伴い、抜本的な構造改革を示している。撤退を表明したはずの衣料品で、アパレル大手・アダストリアを交えた再挑戦が進んでいるなど、すでにそれなりの揺らぎが出てきているので表現が難しいが、現状の方向では、①祖業である「衣料品」の縮小と「食」への注力、②首都圏への店舗の絞り込み、の2点が主要なポイントだ。
今回の33店舗閉鎖は、こうした取り組みの一つだが、この構造改革案は、同じくスーパーマーケットとして知られる「ライフ」の方向と似ている。端的に言って「ライフ化」なのだ。
ライフは首都圏を中心とした都市部周辺に出店を絞り、ショッピングモール等に影響を受けにくい「食」に注力している。店舗によっては、サテライトキッチンを用意しているところもあり、出来立てのお弁当を買うこともできる。
また、農家に実際に出向いて新鮮な野菜を揃える取り組みも行っている。スーパーマーケットが陥りがちな「安売り競争」に乗らず、商品にこだわることで、業界の中でも独特のポジションを獲得している。
【画像17枚】「33店舗が閉店」「遂に100店舗を割る」イトーヨーカドー、閑散とした店内の悲しすぎる光景
では、ヨーカドーの「ライフ化」は成功するだろうか。端的に言って、とても厳しいのではないかと筆者は考える。
ライフが優れているのは、単に「都心と食に特化」しているからではない。その底流には、「消費者のほうを向く」姿勢がある。ライフがこのように食に特化するようになったのは、あくまで「結果論」だからだ。
ライフでは店舗ごとにターゲット層を定め、それに合うような店舗レイアウトや戦略を立てている。
例えば、池袋三丁目店では、近辺に単身者が多いことから、入り口近くに惣菜コーナーを設置し、野菜も小分けにしたものを多く置いている。そこにいる「消費者」ありきで品揃えなり、売り方を決めているのだ。だからこそ、郊外のショッピングモールでさまざまなものが手に入る時代において、あくまでも日常的な購入頻度の高い「食」を追求する戦略になったのだろう。
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