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富士ソフト争奪戦、カギを握る「不動産」の評価 KKR対ベイン、両雄対決の構図は必然だった

東洋経済オンライン / 2024年9月6日 8時0分

その好例がロジスティード(旧日立物流)だろう。KKRによる買収から1年後の2024年2月、ロジスティードは全国の物流施設33物件をKJR傘下の産業ファンド投資法人に売却すると発表した。2023年末にも、同じくKKRが買収した化学品向けタンク運営会社セントラル・タンクターミナルのタンク底地(川崎・静岡・北九州の3物件)を産業ファンドに売却している。

KJR傘下には、産業ファンドのほかにオフィスビルや住宅、商業施設に投資する日本都市ファンド投資法人がある。富士ソフトが抱えるビルは、こちらが受け皿となる公算が大きい。

KKRにとってのメリットは、物件売却によって投資先企業が資金を回収し、本業への投資を強化できることにある。加えて、KKRは自己勘定でKJRに投資しているため、物件売却によってREITの運用資産が増えれば運用報酬も増加し、めぐりめぐってKKR自身の懐が潤う。

不動産会社顔負けの規模

富士ソフトは地上31階建ての秋葉原ビルを筆頭に、横浜や錦糸町、名古屋にも自社ビルを持つ。今年に入っても汐留や博多でもビルを新築するなど、並みの不動産会社よりも潤沢なポートフォリオを誇る。

3Dの要請を受けて2024年1~6月期に8棟を放出し、80億円の固定資産売却益を計上したものの、眠る不動産の簿価と時価の裁定取引ができれば、強気の価格を提示しても投資を回収できる。

対するベインはもともと事業投資が専門で、不動産投資には大きな関心を払ってはいなかった。だが、企業買収を通じて不動産投資の妙味に気づく。とりわけ注目すべき案件が、2020年にTOBによって買収した昭和飛行機工業だ。

同社は本業である輸送機器製造とは別に、昭島駅周辺に広大なゴルフ場を有していた。当時の簿価は約88億円だったが、2021年2月、物流施設デベロッパーの日本GLPに推定1300億円で売却された。昭和飛行機の不動産部門を分社化して設立された昭和飛行機都市開発は、2021年3月期決算で1079億円の純利益を計上している。

不動産部門を強化したいベインは、2023年にゴールドマン・サックスで不動産部門などを率いていた木下満氏を引き入れる。同氏は今年7月、東洋経済のインタビューで「PE(プライベート・エクイティー)と不動産ファンドがワンチームになって資金を拠出する」と話していたが、富士ソフトはその象徴となる可能性がある(2024年8月1日配信 ベインキャピタル、PE投資「5年で5兆円」の本気度)。

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