富士ソフト争奪戦、カギを握る「不動産」の評価 KKR対ベイン、両雄対決の構図は必然だった
東洋経済オンライン / 2024年9月6日 8時0分
鎌倉市内にあるビルは築39年、錦糸町のビルも築23年と、富士ソフトが持つ一部のビルは老朽化が進む。KKRのように受け皿となるREITはなくとも、改修や建て替えによって収益力を底上げする余地はありそうだ。
投資家は「買収合戦」を期待
ベインとKKRのどちらに軍配が上がるのか。富士ソフトは9月4日、KKRのTOBへの応募を推奨した一方、ベインから法的拘束力を有する非公開化の提案を受領すれば、「慎重かつ真摯に検討を行う」とも表明している。
KKRは5日に1株8800円でTOBを開始したが、富士ソフトの株価は9500円前後で推移する。KKRはDCF法で算定した株価の上限である9529円を突破して買い付け価格を引き上げるのか、ベインは現在提示している1株9200円を引き上げた上で法的拘束力のある提案を仕掛けるのか、両者ともに壁が立ちはだかる。
「安定的かつ高効率で収益に貢献」。富士ソフトは2022年に公表した中期経営計画において、自社ビルを保有する意義を強調していた。だが、その後は3Dに主導権を握られ、自ら築き上げた不動産ポートフォリオの解体に着手せざるをえなくなった。主体性を喪失した富士ソフトに待っていたものは、投資ファンド、アクティビスト、投資家それぞれの思惑が交錯する剥き出しの資本市場だった。
一井 純:東洋経済 記者
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