「365日全国泊まり歩く」彼が浪人で得た価値観 浪人時代の祖母との生活が受験勉強を支えた
東洋経済オンライン / 2024年9月8日 8時0分
千葉大学を受けるにあたって、数Iや世界史Aといった、勉強量が少なくても点数が取れる科目を選んでいた石田さん。ほかに受験資格がある大学があまりなく、奈良教育大学か、秋田大学、佐賀大学のどれかに出そうと考えた末、「あったかそうな街でのんびりできそう」だと思い佐賀大学に出願しました。
後期試験で石田さんは佐賀大学文化教育学部に無事合格し、進学することに決めました。
第1志望校に受からなかったものの、佐賀大学に進んだ石田さんは、「心から落ちてよかった」と浪人の日々を振り返ります。彼は浪人してよかったことについて、「人生にはうまくいかないこともあると学べた」と語ってくれました。
「現役と浪人のときに志望校で連敗したから、人生の厳しさを学ぶことができました。志望校に落ちたことによって、佐賀に行くことになりましたが、この選択はその後の自分の人生においてはめちゃくちゃ大きかったなと思います。
思ったとおり、おおらかな空気の中でのんびりできましたし、誰も知らない土地に行く経験をしたことで、ヒッチハイクをしてみたり、アジアの国々を旅してみたり、興味関心のあることをいろいろとやってみることができるようになりました。この経験が、今の物怖じしない性格につながっていると思います」
また、彼の浪人生活で大きかったことを聞くと「祖母と半年住めた経験」と答えてくれました。
「千葉の祖母の家に住んでいたときのことは、今でも覚えています。毎日一緒にご飯を食べていたのですが、勉強の話は一切せず、他愛もない話をしていましたね。今思えば僕に気を遣ってくれていたのかもしれませんが、孫である僕が一緒に住むことを、祖母がすごく喜んでくれていたのがとても嬉しかったです」
社会人経験経て、全国泊まり歩くように
見知らぬ佐賀の地でさまざまな経験を積んだ石田さんは、大学を4年で卒業したあとに大手交通機関の子会社に入社します。
そこでコンビニに配属されて店長になり、5年間の社会人生活を送りました。それからは仕事を辞めて現在まで5年間、いろんな土地に行って、街角で声をかけてくれた人の家に泊まりながら生活を続けています。
彼は最後に、「浪人生活と今の生活は密接に結びついている」と話してくれました。
「最初は仕事を辞めて世界1周をしようと思い、海外に行く前にまずは日本から攻めようと思っていたのですが、日本各地でその土地土地の人と話しながら生きていくことにはまりました。
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