エネルギー基本計画は「再エネ第一」に組み替えを 蓄電池と国産水素で、変動性再エネの弱点克服
東洋経済オンライン / 2024年9月9日 8時0分
日本に関しては、①2035年までに電力の90%をクリーンエネルギー化する研究(Shiraishi et al., 2023)、そして、②2050年までに電力を100%ゼロエミッション化する研究(Shiraishi et al., 2024)を発表済みである。これらの成果を基に、上記に挙げた問いに答えることにしたい。
なお、日本の再エネの買い取り価格は下図のとおり大幅に低下し、すでに火力発電と同等の水準に達している。これらは今後も大量生産と技術革新で低下すると考えられ、洋上風力を含むいずれの変動性再エネもLCOE(Levelized cost of electricity、均等化発電原価)で10円/キロワット時未満になると予測される。
つまり、日本においても、再エネは最も安い電源になりつつあり、国産エネルギーである再エネを最大限に導入し、活用することは経済的に理にかなっている。
しかし、再エネを大量導入しつつ、電力の安定供給を満たすには、再エネの電力システムへの巧みな統合が必要であり、それを実現する技術的対策の費用、すなわち統合費用を低減させることが不可欠になる。
再エネを統合するための技術的対策
再エネの統合費用が発生する原因は、変動性再エネの次の3つの特徴にある(例えば、Heptonstall and Gross, 2021)。
すなわち、①昼夜や季節によって発電量が変わる「変動性」、②天候などの条件は確率的であるために再エネの発電電力量の予測に誤差が生じうる「不確実性」、そして③利用可能な再エネ資源の質が場所によって大きく異なる「立地制約」である。
しかし、これらの課題を克服する技術的・制度的対策のオプションは豊富に存在し、それらを計画的に幅広く活用することで統合費用を最小限に抑えることは可能である。
ただし、対策の導入には一定の期間(リードタイム)が必要となる。再エネの大量導入が実現する前に、十分な時間をとって対策導入の準備をすることが重要だ。幸い、日本の変動性再エネ(太陽光、風力)の割合は1割前後と非常に低い水準であり、今から準備をすることで統合費用を小さく抑えることができる。
①の変動性(統合費用のうち、「プロファイル費用」の発生源)に対する技術的対策としては、蓄電池によるエネルギー貯蔵、連系線を含む送電線による広域化と変動性再エネの出力平準化、火力発電所の改修、フィード・イン・プレミアム(FIP)など再エネ買い取りの市場化、再エネ電源種別のバランス化、タイム・オブ・ユース(TOU)契約などの電気料金体系の導入などがある。
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