国立劇場、再建決まらぬまま休場続く迷走の裏側 休眠中の施設をHISが活用する摩訶不思議
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 9時30分
東京半蔵門にある国立劇場が昨2023年10月に57年の幕を閉じて約1年が経とうとしている。老朽化や設備仕様の古さ等を理由に建て替えが決まり、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の手法で、劇場機能に加え、ホテルやオフィスを建設することが検討された。
しかし、運営する民間企業を決める入札が、人件費や資材の高騰などで辞退が相次いで2度不調となり、建物は解体もせず休眠状態という異常事態が放置された(→「国立劇場」建て替え入札業者すべて辞退の裏事情 伝統芸能の聖地が再開メド立たない異常事態に)。
HISが国立劇場を活用するという魔訶不思議
そうした中で、今年7月、関係者を驚かす発表がなされた。取り壊し、建て替えるために休場中の現・国立劇場の建物を旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)と協定を結び、連携して伝統芸能・文化観光の拠点として活用するというのだ。
だが、国立劇場を運営する独立行政法人日本芸術文化振興会によると、老朽化のため、「現行の建築基準法に適合しない施設、使用困難な客席および舞台設備」は使用しないという。簡単なパフォーマンスや展示などはできるだろうが、国立劇場が重要な役割を果たしてきた「伝統芸能の保存と振興の拠点」(発表文)としての活用を、このような状態で、しかも旅行事業等を行うHISに期待できるのだろうか。
また、「実際の活用施設や事業内容については、HISと協議のうえ決定」するという能天気な態度だ。
その後、再開計画そのものについても、新たに大きな動きがあった。8月21日に文化庁のHPに、「国立劇場再整備に関するプロジェクトチーム」(文科省をはじめ各省の担当官等で構成)名で「『国立劇場の再整備に係る整備計画』の改定に向けた方向性」が発表された。
ただ、急を要するこの時期に、「改定整備計画」の発表ではなく、「整備計画の改定に向けた方向性」を示しているだけだ。
変更点としては、民間収益施設の提案条件について必須としていたホテルの併設、地代設定等を自由提案とするなど、「自由度を高める」ことだ。
「再整備の基本的な考え方」は、「国立劇場の奈落にある特殊な舞台構造の更新、楽屋の狭隘解消、稽古場不足の解消、バリアフリー化などの重要な機能改善および長期的なライフサイクルコストなどの観点から、引き続き、現在の敷地において建て替えにより整備する」とした。
すなわち、現施設の改修でも、場所の移転でもなく、現地における建て替えの方針を変えていない。
当初の計画は現施設の改修だった
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