大量閉店「ヴィレヴァン」経営が犯した最大の失敗 山ほどある判断ミス、一番まずかったのはこれだ
東洋経済オンライン / 2024年9月10日 10時0分
よく知られるマーケティングの入門書に『ドリルを売るには穴を売れ』がある。タイトル通り、「ドリル」を売りたいときには、ドリルだけに注目するのではなく、そのドリルが開ける「穴」という「効果」に注目すべきだと言う。つまり、ある「モノ」を売るときには、その「モノ」が果たす「効果」がどれだけ人々に刺さるか、それを考えたほうがいいというのだ。
同書は、この「効果」のことを「ベネフィット」と呼び、ベネフィットを起点としてマーケティングを考える重要性が書かれている。
これをヴィレヴァンに適用してみよう。ヴィレヴァンの「ベネフィット」とはなにか。ヴィレヴァンが本当の意味で売っている(いた)ものは、「他の人とは違うセンス」なのではないか、と筆者は考える(というか、多くの人がそう考えるだろう)。
ある意味では、目に見えない「イメージ」を売っているともいえる。ヴィレヴァンに売っているマニアックな本やら、役に立つのかわからない雑貨などを買うとき、人は、「それを買う『他人とは違うセンスのいい自分』」を買っている。
ヴィレヴァン創業者の菊地敬一は、この「センス」を自著の中で繰り返し述べている。例えば、こんな感じだ。
「本というのは特別な消費財なんだ。まず、本を売ることに矜持を持とう。コンビニで本を買うようなセンスの悪い奴は相手にするな」(菊地敬一『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』、p.50)
これ以外にも社員における「センス」の重要性など、菊地はとにかく「センス」という言葉を多く用いているのだ。そこで重視された「センス」は、確かにヴィレヴァンに通う顧客たちを刺激しただろう。人とはちょっと違う、というところが魅力になったのである。
ヴィレヴァンにおいては、そこで売っているものよりも、「そこに何かを買いに行く」という行動が、顧客にとっての一つの魅力になっているといえるのだ。
「センスを売る」ことの難しさ
しかし、この「センス」がベネフィット、というのは、実は諸刃の剣である。
というのも、「センス」自体、言語化しづらいし、それを伝えていくことが難しいからだ。
菊地は「センス」について次のように述べている。
本屋のセンスは、この本の隣になにを置くかで決まる(永江朗『菊地君の本屋』、p.112)
ある本を売るとして、その隣に何を置き、どのようにしてその本を演出していくか。その能力こそがセンスだというのだ。しかし、では実際にどんなものを置けばいいのか、それはなかなか言語化が難しいし、実際菊地の本を読んでいても、「わかるようで、わからない……」というのが正直なところでもある。とてつもなく継承するのが難しい能力なのだ。
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