もし月がないと「地球の環境」はどこまで過酷に? 今の3倍の速さで自転し、天候も大荒れになる
東洋経済オンライン / 2024年9月12日 17時0分
いつもそこにあって、しかし遠い存在の月。「実は毎年3㎝、地球から遠ざかっている」など、知らないことも多いのではないでしょうか?
宇宙 すずちゃんねるさんの『眠れない夜に読みたくなる宇宙の話80』よりお届けします。
月が地球をまわる軌道は楕円形なので、月と地球の距離は最も離れているときで約40万㎞、最も近づくときで約36万㎞となります。
遠ざかる月―実は毎年3㎝地球から月は遠ざかっている
そして、月は毎年3㎝ほど地球から遠ざかっています。これにより、長い目で見れば一日の長さが変化するといった影響があるようです。
実は、月ができたばかりの頃の地球は、1日8時間ほどの速さで自転(地球が地軸を中心にして1回転すること)をしていました。しかし、月が少しずつ遠ざかることで地球の自転速度が遅くなり、現在は1日約24時間の速さに落ち着いています。
月は現在も遠ざかっているので、ずっと先の未来では1日がもっと長くなると考えられています。地球の自転が約47日まで遅くなったとき、つまり1回転するのに47日もかかるようになったとき、月はようやく遠ざかるのをやめて同じ場所にとどまってまわります。
このようになるのは計算上、100億年ほど先のことのようですから、心配には及びませんね。これまでもこれからも、ずっと月は私たちのそばにいてくれるのです。
月がもしなかったら
月と地球は、互いに引力で引き合っています。この引力と、引き合いながらまわる遠心力によって、海の潮の満ち引きが起こります。もしも月がなかったとしたら、潮の満ち引きはとても小さなものになってしまうでしょう。そして海だけでなく、地球そのものが今のような生命あふれる惑星にはなり得なかった可能性もあるのです。
では、もし月がなかったら、どのような変化が起きるのでしょうか。
前にご説明したように、月は地球の自転スピードを遅くする役割を持っています。もし月がなかったとしたら、地球は1日8時間という、今の3倍の速さで自転することになってしまいます。すると地表は風がとても強くなり、天候は大荒れになるでしょう。生命が誕生できたとしても気候は安定せず、今のように豊かな地球は見られなかったはずです。
また、月は、地球の自転軸を約23.4度傾いた状態に保つ働きもあります。この傾きのおかげで、地球に春夏秋冬の四季が生まれているのです。もし月がなければ、地球の傾きは予測不能な変化を起こし、それによって大規模な気候変動が起こっているかもしれません。
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