「悪しき"昭和の組織文化"」は"職場を殺す"大問題 「古い価値観」を引きずったままの経営陣では…
東洋経済オンライン / 2024年9月13日 9時0分
経営コンサルタントとして50社を超える経営に関与し、300を超える現場を訪ね歩いてきた遠藤功氏。
36刷17万部のロングセラー『現場力を鍛える』は、「現場力」という言葉を日本に定着させ、「現場力こそが、日本企業の競争力の源泉」という考えを広めるきっかけとなった。
しかし、現在、大企業でも不正・不祥事が相次ぐなど、ほとんどすべての日本企業から「現場力」は消え失せようとしている。
「なぜ現場力は死んでしまったのか?」「どうすればもう一度、強い組織・チームを作れるのか?」を解説した新刊『新しい現場力 最強の現場力にアップデートする実践的方法論』を、遠藤氏が書き下ろした。
その遠藤氏が、『現場を蝕む「悪しき昭和の組織文化」の放置』について解説する。
*この記事の続き:日本の大問題「"組織カルチャー"の変革」の秘策
現場では「従業員の意欲」が低下している
私は過去30年以上にわたり、日本企業の現場を訪ね歩いてきた。その数は300を超える。
【ひと目でわかる】組織は「木」にたとえると、わかりやすい!イラスト1枚で解説
いまも経営顧問先の現場やコンサルティングを行う企業の現場を訪ね歩き、現場の人たちと直接的な触れ合いを大事にしている。
「現場力」こそが、日本企業の競争力の源泉であると信じてきた。
しかし、日本企業の現場を取り巻く環境は悪化していき、劣化を食い止めるどころか、現場力は跡形もなく消えてしまっていた。
ある大企業が行ったエンゲージメントサーベイでは、50%以上の従業員が「エンゲージしていない」(意欲を持って働けていない)と回答した。
「エンゲージしている」(意欲を持って働けている)と回答した人はわずか10%にすぎない。
日本における伝統的大企業の多くは、「年功序列」「終身雇用」「企業別組合」といういわゆる「三種の神器」をベースにした「日本的経営」によって高度成長期に発展し、企業としての基盤を固めた。
同質性、画一性が色濃く出た集団主義的、全体主義的組織マネジメントの下で、社員たちは懸命に働いた。少なくとも昭和の時代まではそれが機能した。
しかし、時代が変わり、組織マネジメントの考え方や方法論は大きく変わっている。
「社員にやる気があるのは当たり前」「社員は一所懸命働くのが当然」「社員は上司に従順」「社員は不正などしない」とする旧来の考え方は、通用しないばかりか、組織を劣化させ、会社の競争力を根っこから削いでしまう原因にもなりかねない。
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