「悪しき"昭和の組織文化"」は"職場を殺す"大問題 「古い価値観」を引きずったままの経営陣では…
東洋経済オンライン / 2024年9月13日 9時0分
従業員が意欲を持って働くことができる環境が整えられていなければ、現場力が高まるはずもない。
従業員の意欲喪失の大きな理由のひとつになっているのが「前近代的な組織カルチャーの放置」である。
「古い価値観を引きずったまま」の経営陣
日本企業の多くは、「昭和」という時代を引きずったままの古い共同体意識がそのまま残っている。
集団主義的、全体主義的な感覚が色濃く残り、同質性、画一性が尊ばれる前近代的な共同体の古いしきたりや窮屈さに、若い世代は辟易としている。
従業員たちは共同体そのものを嫌っているわけではない。訳のわからない旧態依然とした封建的な「村」意識が彼らには到底理解できないのだ。
古い価値観を引きずったままの「旧来の共同体」は、そのまま滅びる運命にある。
現場力にとって「組織カルチャー」は決定的に重要である。にもかかわらず、日本企業の経営者はあまりにも無関心、無頓着だった。
昭和時代を引きずったままの「組織カルチャー」が温存され、時代に合わなくなっているにもかかわらず、抜本的な手を打たず放置してきたのだ。
「昭和の時代を引きずったままの組織カルチャー」とは、たとえば次のようなものである。
【昭和の時代を引きずったままの「組織カルチャー」の一例】
・同質的かつ閉鎖的で、異分子を排除する傾向が強い
・「縦」の関係性が強く、「親分─子分」の絶対的な主従関係に依拠する
・「顧客は絶対」という「Master-Slave」の意識が強い
・心理的安全性が低く、主体的な発言や行動ができない
・ストロングタイプ(強面)のリーダーが存在する
その典型例が「オールドボーイズクラブ」だろう。
これは男性中心の非公式な組織内コミュニティのことで、男性だけの飲み会やゴルフ、勉強会などを通じて排他的な派閥やグループが形成されることである。
「新たな価値」を生まない排他的組織
政治の世界では「3人寄れば派閥ができる」と言われる。どんな組織でも、人が集まれば、そこにはグループが形成される。
問題は、そのグループの持つ排他性である。異質や異分子を排除する組織から、「新たな価値」は生まれようがない。
多様性や包摂性の重要性が高まり、労働の流動性も高まる中、こうした組織カルチャーのままでは経営が立ちゆかなくなるのは明白である。
にもかかわらず、多くの日本企業は時代に合った「新たな組織カルチャー」へと転換しようとしてこなかった。
組織風土は目に見えない。目には見えないが、組織を覆う空気や雰囲気は必ず存在する。
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