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「電話恐怖症」の背後にある"社交的不安"の正体 2015年頃から顕著になった「会社をやめる理由」

東洋経済オンライン / 2024年9月13日 7時0分

私自身もコロナ禍のときは、自宅で電話相談の仕事をしていましたが、会社からの事務連絡の電話に出なかったことで、激怒されたことがありました。 

電話相談では、相談者は声を頼りに話を進めるために「音」にひじょうに敏感です。よって、スマホの着信音等にも気を遣い、消音モードにしていたために気づくのが遅れたのですが、説明すらできない状況でした。

私の場合、その仕事はあくまでもたくさんある仕事の一部であったにもかかわらずダメージを受けたので、会社から社用携帯を持たされ、24時間つながっている場合、そうした状況にプレッシャーを感じるのもうなずけます。おそらく、それがきっかけになり電話恐怖症につながってしまうこともあります。

2015年ごろから顕著になってきたこと

「電話がこわい」という傾向は年々強くなっています。最近では、電話応対をしている最中に泣き出してしまう例も出始め、電話恐怖症は若者の間で定着しつつあるのではないかと感じます。

もうひとつ、同時期から顕著になってきた傾向があります。 

それは、自分の意思を伝えられない人が増えてきたということです。私が以前から新人研修で必ず聞く質問があります。

それは「もしランチセットで食後にコーヒーを頼んだのに、紅茶が来てしまったとき、あなたはどうしますか?」というものです。

2015年以前ですと、「店員さんに言って、注文通りのコーヒーに替えてもらう」という人が7〜8割でした。しかし最近では、「替えてもらう」のは5割弱。つまり半数以上の人は「黙ってそのまま紅茶を飲む」というのです。

コーヒーが飲みたかったのに紅茶が出てきたとき、なぜ「替えてください」というひと言が言えないのでしょうか。

その理由について聞いてみると、以前は「面倒くさい」とか「まあいいやと思うから」という答えが多かったのですが、最近は「何と言えばいいかわからないから」「どう思われるか心配」「言うタイミングがつかめない」などの回答が多くを占めるようになりました。

つまり人とどうかかわるのか、コミュニケーションの問題が浮上してきているのです。もし日本人が近年コミュニケーション下手になってきているとしたら、電話で話すのがこわくなるのは当たり前といえるでしょう。電話恐怖症は日本人のコミュニケーション力の低下と密接に関係しているのです。

アメリカでは約8割の若者が電話に不安感

電話恐怖症の問題は日本だけではありません。イギリスの大手電話応対サービス会社Face For Businessが2019年に公開した記事によると、オフィス勤務の従業員のうち62%が、電話に出る前に不安を感じると答えています。

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