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医師不足を助ける新しい資格「医師助手」の期待度 アメリカで始まり、日本でも導入の議論が進む

東洋経済オンライン / 2024年9月14日 11時0分

円滑に手術が進むよう、執刀医の加藤医師とともに透視画像を確認する山田さん(写真:筆者撮影)

2024年4月に始まった医師の働き方改革を先取りし、2010年から改革に取り組み成功を収めているのが、亀田総合病院スポーツ医学科だ。

【写真で見る】患者に手術の説明をする医師助手。彼らの存在は医師不足の解決策となるか

医師に代わって診察の一部を支援できる、アメリカの国家資格「PA(Physician Assistant:医師助手)」を院内資格としてアレンジし、医師が医師本来の仕事に専念できる環境を作った。

はたしてPAとはどんな仕事なのか――。

PAとして活躍する看護師

「そのしびれは、膝の近くを走る神経にボルトが当たっているからだと思います。ボルトを抜いたあとに、症状が緩和する方が多い傾向にありますよ」

亀田京橋クリニック(東京都中央区)のスポーツ医学科の外来診察室で、翌月に手術を控えるAさんへの術前説明が行われていた。

【写真10枚】診療や手術のサポート、カルテ入力……。亀田京橋クリニックで活躍する「PA(医師助手)」

PAで看護師の山田凌大(りょうた)さんは、医師の指示・監視下のもと、膝の状況を確認する触診を行い、レントゲンやMRIの画像をAさんに見せながら、手術内容の説明や、入院から退院までのスケジュールや注意事項などを詳しく伝えていく。

患者には専門用語の羅列では伝わらない。「会話を通してどこまで理解できているかを確認しながら、言葉を選んで伝えていくことを心がけている」と山田さん。

スムーズな手術の進行を目指す

朝8時30分。

病院の手術室には、第一助手として加藤有紀医師の前で手術をサポートする山田さんの姿があった。PAは山田さんを含め3人(取材当時。現在は4人)が在籍。手術がある日は加藤医師が手術室に入るまでに以下の役割を分担し、スムーズな手術の進行を目指す。

・その日の手術全体のスケジュールの確認・調整
・手術中に確認するレントゲンやMRIなどの画像データを選んでモニターに表示する
・使用する手術機材の確認
・手術室看護師への教育的関わり
・手術室に入室した患者さんとのコミュニケーション

「お願いします」という加藤医師のかけ声で、手術が始まった。

PAたちは次に加藤医師がどのような動きをするのかを先読みし、必要なタイミングで吸引したり、透視のモニターが見やすいように立ち位置をずらしたり、術野が見やすいように傷口を固定したり。加藤医師の手が止まることなく、あうんの呼吸で粛々と手術が進む。静かななか、心電図などのモニターや電気メスの音だけが響く。

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