ホンダ新「フリード」人気の秘訣は日本仕様の追求 販売好調、本質を変えないことが売れる理由
東洋経済オンライン / 2024年9月14日 9時30分
せまい市街地で実感したのは、小まわり性能と視界の広さだ。とくにひらけた視界は、現ホンダのラインナップで1位、2位を争うほどで、とりわけ前方視界は格段に広く、運転がとてもしやすい。さらに運転席から把握できる車体前方と側方の見切りも良好でせまい道でもストレスを感じなかった。ドアミラーとAピラー(フロントウインドを支える柱)との距離もとられているから死角がさらに少ない。これもいい。
少しだけ残念だったのは、インパネ下部の領域。いろんなスイッチが集中して配置されてせわしなく、ブラインド操作には慣れを必要とした点だ。液晶モニターの下にはシフトノブ、電動パーキングブレーキ&ブレーキホールドスイッチ、エアコン操作部、オーディオ操作部が並ぶが、広大な視界を得るためかせまい場所にそれぞれのスイッチがキッチリと収められている。
スイッチサイズは大きく単体での操作性も悪くないのだが、筆者はたびたび大きく下に目線を落として操作していた。物理スイッチをちゃんと残してくれたのはホンダの良心ながら、せっかく視界を広げても目線を下げる回数が増えてしまうのであれば、良さも半減。センターの液晶モニターサイズをひとまわり小さくして※3~5cm程度、各種スイッチ類の配置を上方へ移動させるだけでもずいぶんと印象は変わるのではないか。
※現状、地図表示の主画面は、撮影画像のようにモニター表示部の上が情報表示用としてあてがわれている。
ラゲッジルームは広大だ。後輪ホイールハウスやサスペンションの張り出しがとても小さく大きな荷物が積み込みやすい。3列目シートは両側に跳ね上げるタイプだがシート形状を新設計とし全体を薄型化したので、ルームミラー越しの後方視界をほぼ妨げなくなった。
車いすやアウトドアグッズの収納に便利な「スロープ」グレードには車内引き込み用の電動ウインチが付く。この電動モーターは軽ミニバン「N-BOX」の電動スライドドア用モーターで左右に2つ装備され、たとえば車いすを車内に引き込む際に重宝する。スイッチひとつで左右のモーターが自動的に同期するのでまっすぐに引き込めるなど利便性も高かった。
先進安全装備も充実
先進安全技術群である「Honda SENSING」は多機能なだけでなく、精度も向上。制御のきめ細かさを示す指標であるステアリングの操舵角度では0.5度単位という徹底ぶり。とりわけ車線維持支援システム「LKAS」では、前述した電動パワーステアリングの分解能を高めたこととの相乗効果で人の操作フィールに寄り添う制御内容へと進化した。
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