あの石神秀幸が「麻辣湯」チェーンを営む深い理由 中国のローカルフードを、なぜ手掛けるように?
東洋経済オンライン / 2024年9月16日 10時0分
「美味しいし、楽しいし、体にいい。こんなに素晴らしい食べ物があるのかと衝撃を受けました。薬膳にはデトックス効果もあり、スープはコラーゲンがたっぷりで、たんぱく質もしっかりとれる。
美味しい野菜をたくさん食べたくても生ではなかなか食べられませんが、美味しいスープで煮込めばたっぷり食べられます。この麻辣湯を日本に持っていきたいと直感的に思いました」(石神さん)
中国では屋台や掘っ立て小屋でやっているようなローカルフードで、現地ではコンビニぐらいありふれた存在。石神さんは中国、マレーシア、シンガポールで片っ端から麻辣湯を食べ歩き研究に研究を重ねた。
石神さんが麻辣湯を日本に持ち込むにあたり考えたことは、「料理」としてさらに進化させたものにしようということだ。麻辣湯はまだ歴史が浅く当時荒削りな食べ物だった。チキンパウダーにうま味調味料溶かし込んだ簡易的なスープで作っているお店が多く、そのジャンクな味わいからさらに進化させることでより多くの人に受け入れられるのではないかと考えた。
ごく一部ではお店で骨からスープを炊いているお店もあり、こだわって作ることで美味しさがさらに追求できることは証明されていた。
「日本人はスープへのこだわりが強いので、スープ料理としての完成度を上げていくことに注力しました。
日本人向けにマイルドに作るなどということはまったくありません。ローカルフードとしてのよさを生かしながらクオリティを高めていく努力をしていきました」(石神さん)
2007年1月、1号店がオープン
2005年に会社を立ち上げ、その後2年間かけて試作と物件探しをした。恵比寿での出店を目指していたがなかなか物件が出てこず、一度自由が丘の物件に決めるも、結局納得できず見送ることに。最終的には渋谷の桜丘町の物件に決めた。
こうして2007年1月、「七宝麻辣湯」の1号店がオープンした。
当時、麻辣湯のお店は日本に一軒もなかったので、立地だけでなくスタッフの教育も非常に難しく苦労した。中国で屋台で食べるようなものを日本に持ち込もうという発想が今までそもそもなかったのである。
「これだけ食べられているローカルフードであれば、日本にあってもおかしくないなとは思っていたのですが、当時はまだ一軒もなかった。人って意外と身近なもののよさがわからないものなんですよね。日本の意外なものが海外で流行ったりということもあると思いますが、それと同じです」(石神さん)
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