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「驚異のドラマ」米国人語る「SHOGUN」圧倒的魅力 「今のアメリカに必要なのは虎永だ」という声も

東洋経済オンライン / 2024年9月17日 14時15分

「SHOGUNは、驚異的なドラマだった」と話すのは、デビッド・ブッシュマン氏で、ペイリー・センター・フォー・メディア (旧テレビ & ラジオ博物館および放送博物館)の元テレビ・キュレーターだった。

同氏が注目するのは、映画とは異なるSHOGUNのドラマ性だ。

「ドラマは、エピソードごとに次のエピソードを視聴させる作りが必須だ。それには、強力な人物描写とストーリーテリングにリソースを傾注しなければならない。アメリカでの成功例では、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア(邦題)』の主役トニー・ソプラノがそうであり、SHOGUNでは、吉井虎永、ジョン・ブラックソーン/按針、戸田鞠子が、(エピソードを見続けるために)際立った演技をみせた」

日本の戦国時代という設定で、日本の現代のアニメ、漫画、映画に親しんだ視聴者が、未知だった日本の歴史に接したというのも特殊な魅力だったという。

「視聴者は、容赦ないテンポと、何が起こったのかを知るために毎回エピソードが終わるたびにインターネットにアクセスしなければならない。それくらい濃密な神話に浸っているという体験を楽しんだ」

実際に、筆者の友人でエンジニアのイアン・パラデス氏は、戦国時代に関する本を読み、SHOGUNのストーリーが「100%フィクションではないと初めて理解した」という。

「全編を貫く王宮(発言ママ、武家の意味)の陰謀もとても興味深くて、それが二重三重の礼儀で包まれているのも面白かった」

西欧文化を学ぶきっかけにもなった

同時にアメリカ人が、17世紀当時の西欧文化を「逆に」学ぶきっかけになったという見方もある。日米文化についてのブロガー、作家で、早稲田大学客員教授のローランド・ケルツ氏は、こう指摘する。

「SHOGUNを(歴史的に)ごまかしがない作品にしている重要な要素は、ブラックソーンと彼の仲間のヨーロッパ人が、比較的洗練され文明化されていた17世紀の日本における”外国人”として描かれていることだ。

重要なシーンは、ブラックソーンが腐ったキジを吊るし、不気味でまずいウサギのシチューを作って、日本のホストたちは礼儀正しくいながらも味はひどすぎると思ったところだ」

「食べ物は、文化的違いの最も身近な象徴かもしれない。この場面で、エキゾチックでかつ野蛮な文化は、歴史的に支配的であった、つまり白人側だ」と鋭く指摘する。

女優のカーさんも「当時、イギリスに毎日入浴する習慣がなかったことなども学ぶ機会になった」と言う。

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