今「仕事を掛け持ちしない」のはリスクでしかない 安定した収入があれば新しいことを始められる
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 17時0分
生成AIやデジタル技術の進化により、私たちの身の回りで、これまで人がやっていた仕事がどんどん変わっています。
スーパーのレジ、飲食店の注文や配膳はもちろんのこと、たとえば「○○の窓口」「○○インフォメーションセンター」のような、「誰かが対応してくれるだろう」はずの場所も、待っているのはロボットであることが珍しくなくなりました。昨日まであった仕事がAIに取って変わられる先行き不透明な時代を生き抜くために、子どもたちにはどのような教育を受けさせればいいのか。
親世代には想像もつかない変化の激しい時代を生き抜く子育てのヒントを進学塾経営者、富永雄輔氏『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)より、一部抜粋・編集してお届けします。
足し算ではなく「掛け算」で伸ばす
大谷翔平選手が二刀流にこだわる理由についてですが、私は勝手に、彼がそこに相乗効果を見いだしているのだと思っています。
「打者でも投手でも通用することを証明したい」などという陳腐なものではなく、「打者と投手の両方をやっているからこそ、どちらも伸びているのだ」と彼自身が確信しているのではないか、と。
実は、こうした感覚こそ、新しい時代を生き抜く重要なカギだと私は考えています。
これまで、人の努力は「足し算」で増えていく時代でした。
1カ月に10の努力をした人は、2カ月後には20の、3カ月後には30の実を得てきました。たとえば職人は、こうしてコツコツと技術を磨いてきたわけです。
しかし、これからは1つのやり方にこだわらず、1つの職業にこだわらず、1つの立場にこだわらず、いくつもの選択肢を生かしながら、「掛け算」で結果を増やしていくことを考える時代です。
1カ月に10の努力をした場合、掛け算ならば2カ月後には100になります。いってみればレバレッジをかけられるわけです。
今後、そういう掛け算の働き方をする人たちが多く出てくるはずで、そのなかで職人気質の足し算にこだわっていれば、どんどん引き離されてしまいます。
だから、掛け算はむしろ大谷選手のような天才ではなく、凡庸な人ほどやっていかねばなりません。
最初から“全体の1%”に入れるような天才の逸材なら、足し算だけでも相当な成果は出せるでしょう。でも、“99%”の凡人の中にいる場合、そこで上のほうに行こうと思ったら、選択肢をたくさん持ち、掛け算で自分を伸ばしていくことが必要です。
「選択肢が1つしかない」はリスク
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