社員ファースト?「部下が上司選択」アリかナシか 改めて考えたい「上司とは何か・部下とは何か」
東洋経済オンライン / 2024年9月18日 8時0分
働き方改革が進み「社員ファースト」を掲げる会社が増えている。そのような中、部下が上司を選択できる制度を取り入れている会社があるという。
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「果たしてこのような制度は本当に機能するのか?」「若者の自主性を促す画期的な取り組みなのか、それとも若者に媚びるための制度なのか?」、さまざまな疑問が頭に浮かんだ。
「上司選択制度」とは何か? 3つのメリット
実際に、ある企業が導入している「上司選択制度」は、上司の「能力・性格・特徴」や「得意分野・技術」をまとめた情報をもとに、社員が上司を選択できる仕組み。
社員は「この人のもとで働きたい」という希望を叶えられ、上司のミスマッチによる離職率が低下、社員の成長も促進されるという。
このような「上司選択制度」を導入して得られるメリットについては、以下の3つがあると思う。
(1)エンゲージメント向上
信頼のおける上司を自ら選ぶことにより、意見や提案をしやすい環境を手に入れることができる。部下のやる気や責任感が高まる。
(2)成長促進
自分のキャリアや専門分野に合った上司を選ぶことで、高度なスキルや知識を吸収しやすくなる。部下の成長を促すことにつながる。
(3)生産性アップ
上司とのコミュニケーションにストレスを感じなくなり、業務に集中しやすい環境を手に入れられる。クリエイティブな思考や問題解決能力が発揮され、生産性がアップする。
このように考えれば、いいことばかりであり、この制度は組織を活性化するうえで素晴らしい打ち手だと思えてくる。
実際に導入した会社では離職率低下、社員のスキル向上など成果が出ている、と報道されている。だが、いろいろな前提条件がそろっていないと、期待した効果を得られないのではないか。私はそう考えている。
会社にとっての「上司選択制度」2つのデメリット
上司選択制度を導入した結果、期待通りの効果があればいいが、リスクもあるだろう。特に問題だと感じられるデメリットを2つ紹介したい。
(1)上司の負担増加とモチベーション低下
最大のデメリットはもちろんコレだ。人気の上司には部下が集まり、負担が増加する。そして選ばれなかった上司たちは複雑な感情を抱くだろう。
人気のなかった上司は自身のモチベーションを保つことが難しい。上司のパフォーマンスが落ちることで、組織の成果そのものに悪影響が出ることは大いにあり得る。
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