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ロッキード・マーティンが自衛隊に狙う次の一手 新レーダーや垂直発射装置のビジネスチャンス開拓に熱

東洋経済オンライン / 2024年9月19日 10時0分

海上自衛隊のイージス艦「こんごう」。艦齢を重ね、退役が迫る中、後継イージス艦の建造とそのシステム導入の議論が始まった(写真・海上自衛隊ホームページ)

日本の防衛力の抜本的強化を目指し、岸田文雄政権が2022年12月に5年間で防衛費を総額43兆円にまで増やす閣議決定を下してから、まもなく2年になる。その日本での「防衛特需」を狙って、世界の防衛企業が日本での新たなビジネスチャンス開拓に熱を上げている。

年商676億ドル(約9.5兆円)を誇る世界最大手の防衛企業、アメリカのロッキード・マーティン(以下、LM)もその1つだ。同社は9月10日、筆者を含む日本人ジャーナリスト4人を、アメリカ東部ニュージャージー州モリスタウンにある同社ロータリー&ミッションシステムズ部門の事業所に招き、「Japan Media Day」と題したプレスツアーを開催した。

LMが日本メディアを呼んだワケ

同部門は軍民双方のシコルスキー・ヘリコプターの製造や、海上・陸上ミサイル防衛システムなどの設計、製造、サポートを行う。日本に関連すれば、特に海上自衛隊のイージス艦に搭載されているイージスシステムの開発、統合、製造、テストを30年以上にわたってサポートしてきた長い歴史を有する。

事業所内では、建物入り口の同社の看板のみの写真撮影が許され、その他一切の写真撮影や録音録画が認められなかった。その一方、同社は、後述するSPY7レーダーの地上試験サイト、Production Test Center 2(PTC2)を今回初めてメディアに公開した。また、日本メディアとして初めて新型のミサイル垂直発射装置Mk.70 PDS(Payload Delivery System)の実物の見学を許可した。

では、LMが今回、私たち4人を招待した狙いは何か。主に以下の3つの狙いがあったとみられる。

① 海自が導入するイージスシステム搭載艦(以下、ASEV)に搭載するSPY7レーダーの開発・製造が順調に進んでいることのアピール
② 退役時期が迫るこんごう型イージス艦の後継艦へのSPY7レーダー採用のアピール
③ 新型VLSのMk.70 PDSや、地上配備型迎撃ミサイル「PAC3MSE」のイージス艦への搭載など新たな装備品の売り込み

それぞれの点を1つずつ見ていきたい。

政府は2020年12月に陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の代替案として、ASEVの2隻導入を閣議決定した。

ASEVは海の揺れに強くし、安定できるように船体を大型化する。船体の大きさは、アメリカ海軍最新のアーレイ・バーク・フライトⅢよりも約1.7倍の大きさとなる全長190メートル、全幅25メートル、排水量が1万2000トンとなる。

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