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15年ぶりに全線開通「阿里山林業鉄道」車両の中身 災害や資金難を乗り越え、再始動までの道のり

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 7時0分

阿里山林業鉄道。神木駅にて(写真:筆者撮影)

日本統治時代に設置され、世界三大登山鉄道として人気が高い台湾の「阿里山林業鉄道」が15年ぶりに全線開通した。

【写真で見る】標高約1000mの山間部を走る阿里山鉄道

世界中から観光客が訪れる人気の鉄道だが、実は幾度も困難に見舞われている。甦った同鉄道を待ち受けるのは輝く未来なのか――。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」の会員が、その実情に迫った。

世界三大登山鉄道、7月6日に全線開通

阿里山林業鉄道(略称阿里山鉄道)は、嘉義駅と阿里山駅を結ぶ本線と、阿里山駅を起点として祝山駅までつながる祝山線、阿里山駅と神木駅を結ぶ神木線、阿里山駅と眠月駅を結ぶ眠月線(現在は沼平駅まで)の3本の支線からなる鉄道だ。

【写真で見る】7月6日に全面開通した台湾の「阿里山林業鉄道」。「世界三大登山鉄道」として人気が高い(全14枚)

2009年の台風の影響で一部区間が不通となっていた本線が、7月6日、15年ぶりに全線開通した。

台湾総統も期待する路線

19日に行われた記念式典には頼清徳(ライ・セイトク)台湾総統が出席し、関係者をねぎらうとともに、「全線開通によって嘉義県と嘉義市の観光産業が活性化され、より多くの外国人観光客がこの地を訪れることを期待している」と語った。

阿里山鉄道の本線は、嘉義駅(標高30m)から阿里山駅(同2216m)までの、全長71.6km、標高差が2000mを超える登山鉄道である。インドの「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」、チリとアルゼンチンを結ぶ「アンデス中央鉄道」と並ぶ世界三大登山鉄道の1つといわれており、4回のスイッチバックや複雑なループ線などが特徴だ。

日本との縁が深い阿里山鉄道

阿里山鉄道は日本との縁が深い。

日本統治時代の1906年、大阪の合名会社藤田組(現在のDOWAホールディングス)により建設が開始された。1908年に資金難により工事が頓挫したが、1910年には台湾総督府殖産局が工事を継承し、1910年から1918年までの間に本線を段階的に開業させた。開業当初は木材を運搬する産業鉄道だったが、1920年からは旅客輸送も担っている。

現在、日本と台湾の間には40を超える姉妹鉄道協定が締結されているが、第1号となったのは、1986年に阿里山鉄道と大井川鐵道の間で締結された姉妹鉄道協定だ。この協定は四半世紀以上もの間、日台唯一の鉄道協定だった。

自然災害の多い地域に作られた阿里山鉄道は、災害の被害にたびたび遭った。

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