建設業の深刻すぎる「人手不足」解消に必要なこと 一括請負方式の生産システムを見直せるか
東洋経済オンライン / 2024年9月22日 7時0分
建設工事のコストが、資材価格の高騰や労務費アップで上昇している。今月1日には建設労働者の処遇改善を促進するための改正建設業法などが施行され、元請け事業者は著しく低い労務費で下請け業者に注文することが禁止となり、一段の労務費アップが予想される。
この先も高齢化の進展とともに人手不足が一段と深刻化するのは間違いない。その対策として建設労働者の処遇改善が進められているが、ここに来て建設コストの上昇が建設需要の押し下げ要因になっているとの見方も出ている。
建設労働者の処遇改善を進めながら、いかに建設コストを抑えるのか。ITやAI、ロボットなどを活用して労働生産性の向上を図るとともに、建設業のビジネスモデルを変革し、建設生産システム全体の効率化を進める必要があるだろう。
参考になるのは、建設業と同様に人手不足問題が深刻な物流業界だ。国は2040年を目標に物流の構造改革をめざす「フィジカルインターネット・ロードマップ」を2022年3月に策定し、共同配送やデータ連携などの取り組みを進めている。建設業でも、従来の一括請負方式の生産システムを見直していく必要があるのではないか。
建設業のビジネスモデルが抱える課題
国土交通省が8月末に発表した2024年度の建設投資見通しは前期比2.7%増の73兆0200億円となり、うち土木を除く建築投資は同2.0%増の47兆2100億円と5年連続の増加となった。
2015年度から建築補修工事の投資額が加わった影響もあるが、補修工事を除いた建築投資額で見ても、建築着工床面積が減少傾向にあるにもかかわらず、5年連続で増加すると予想。建設コストの上昇が建築投資額を押し上げている構図だ。
建設業のビジネスモデルは、発注者から工事依頼があると一括請負で受注生産するのが基本。誰から工事発注があっても受注機会を逃さないように、元請け事業者は一定の技術者を抱え、施工体制を整えてきた。
公共工事では発注見通しが事前に公表されるが、民間工事では、いつ、誰から、どれくらいの規模の工事が発注されるかはわからない。元請け事業者は技能労働者を直接雇用せず、受注量に合わせて下請け事業者から調達する現在のビジネスモデルが定着してきた。
1990年代までは建設需要が拡大し、労働人口も増えて供給側も十分な施工能力を確保できた。しかし、2000年代に入って建設需要の減少に合わせて建設技能労働者が減少し、従来の一括請負型のビジネスモデルでは、需要の変動に供給側が柔軟に対応するのが難しくなってきている。
トラックドライバーが不足する物流業界の取り組み
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