「もう時代後れ」日本の株式会社が見失ったもの 優秀な社員たちの解放が必要な真っ当な理由
東洋経済オンライン / 2024年9月26日 14時0分
ちなみにそれらの情報の多くは、自社の「トンデモな状況」を冷静に見つめている社員からもたらされたものである。
納得せざるをえないのは、組織ピラミッドの上に行くほど「痛い行動」をしているという自覚が薄くなっていくという指摘だ。
とくにトップとなると、非常に問題が多いという。権力を持った(と勘違いしている)経営者や上司ほど、「裸の王様」状態になっているというわけで、いわゆるワンマン経営者がまさにそれにあたるだろう。
無茶苦茶な社内ルール
たとえば、著者のもとに寄せられた50代会社員Aさんからの投稿にある次のケースがまさにそれだ。
なんでも、Aさんが勤める会社は盛和塾にハマった創業者が経営する「変な上場会社」で、「無茶苦茶な社内ルール」がたくさんあるというのだ。
いうまでもなく盛和塾は、京セラ創業者の故・稲盛和夫氏が、若手社長に経営哲学を教えるため1980年代に発足させた勉強会である。
その影響力は国内のみならず世界的に広がり、2019年に閉塾するまでに2万6000人もの経営者が「塾生」として学んだという。
Aさんの会社の創業者もそのひとりで、およそ30年前、30代のころに入塾したそうだ。
「創業者は『利他』という経営理念を掲げています。毎朝、フィロソフィと称する冊子の読み合わせがあります。社員を洗脳して統率するためです」
「利他」とは稲盛経営を代表する言葉の1つとして有名だ。「自分のため」でなく、「人によかれ」と経営すれば、周りの人が協力してくれる、という考え方である。
盛和塾の塾生は、多くが自社の経営理念に「利他」を掲げている。
(39ページより)
さて、この時点で矛盾に気づく方も多いことだろう。
毎朝、冊子の読み合わせをして社員を洗脳し、統率するのであれば、それは「利他」ではなく「利己」そのものである。つまりは「利他」の概念は稲盛氏が説いたとおりに使われていないわけだ。
事実、社内で「利他」という言葉が使われる際、それは顧客や取引先を指すものではなく、「株主様のため」というフレーズが繰り返されるのだという。
優秀な社員ほど定着しない
「株式の50%近くを創業者が握っているので、(株主様のためというのは)結局は自分の利益という構図となる」
そして、厳しい社内ルールが制定されていった。ワイシャツは白、スーツは黒、紺、グレーに限る。創業者を囲んだゴルフ会が頻繁に開かれ、帰ったらすぐにお礼のメールを出さなければならない。
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