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「驚く肉体の91歳」一人きりで生きる"老後の戦略" 最愛の妻を看取って22年、人生後半戦をどう過ごすか

東洋経済オンライン / 2024年9月28日 10時0分

現在91歳、驚異の体力と肉体を持つ稲田弘さん。「世界一過酷」と言われるアイアンマンレースに出場する現役の選手だ(写真:稲田弘さん提供)

今年、厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表」 によると、65歳を迎えた人のその後の平均余命は、男性19.52歳、女性は24.38歳だった。

【画像】驚異の肉体を持つ91歳! 77歳の時と肉体のピークだったという85歳の時の身体を見比べる

また、90歳を迎える人の割合は男性26%、女性に至っては50.1%にもなる。超高齢化が進み、「人生100年時代」を迎えている現代、長い老後はもはや余生ではなく、人生のセカンドステージであろう。

【写真】驚異の肉体を持つ91歳! 77歳の時と肉体のピークだったという85歳の時の身体を見比べる(7枚)

70歳のとき、最愛の妻を失った

今秋92歳を迎える稲田さんにとって、人生のセカンドステージで迎えた転機は、70歳のときだった。その後の人生そのものとなるトライアスロンに挑戦した歳であり(前記事)、43年間連れ添った最愛の妻を失った歳である。

3歳年下だった妻は42歳のときに、血小板減少性紫斑病という国の指定難病を発症。自宅療養と入退院をくり返しながら、長い闘病の末、入院先の病院で稲田さんに見守られながら、静かに息を引き取った。享年67。

「亡くなる2日前は妻の誕生日だったんです。僕が小さなバースデーケーキと花束を買って病室を訪れると、にっこりと笑ってベッドからゆっくりと体を起こしてくれました。寝たきりの入院生活でしたが、その日は調子がよさそうで、2人でケーキを食べてお祝いをして、他愛のないおしゃべりを楽しみました」

稲田さんが自宅に帰り着いた頃、妻の容体が急変。2日後に亡くなった。病室の花瓶に生けた誕生祝いの花は、小さなつぼみがきれいに咲き始めていた。

闘病生活二十数年の年月の重みに比べたら、その最期はあまりにも唐突で、現実のこととは思えなかった。長い年月の折々で、その日を迎える覚悟もそれなりに持った。しかし、稲田さんにとってのリアルは、「覚悟」よりも、今日を生き、明日を迎える妻の命の積み重ねのほうだった。

茫然自失となった稲田さんはその後の3カ月間をどうやって暮らしていたのか、ほとんど記憶がない。顔から表情が消えて、うわごとばかりつぶやいている稲田さんの様子に、息子は「親父、ボケたか?」とたいそう心配したという。

そんな稲田さんを現実の世界に引き戻したのが、トライアスロンの大会出場だった。妻に内緒でトライアスロンの大会に初めて出場したのは、妻が亡くなる3カ月前のこと。

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