「ブラックホール」で"時が止まる"は本当なのか? 何でも吸い込む「天体のラスボス」7つの不思議
東洋経済オンライン / 2024年9月28日 9時0分
天体は、重力によって物質が集まってできています。地球や太陽の場合、重力によって集まろうとする力と、内側から抵抗する圧力がバランスして形が保たれています。
しかしブラックホールの場合、内側から支える力が足りず、中心のミクロな1点にすべての物質が集まってつぶれている、という状態になっているようなのです。
この点のことを専門用語で「特異点」といいます。
ブラックホールがこの宇宙に存在することは、数々の観測事実から間違いありません。ただ特異点では既存の理論が破綻してしまうため、実際にはどんなふうに物質が集まっているのか、つまり、ブラックホールの穴の中がどうなっているのかは、まだわかっていないのです。
そこで現在、新しい理論(「量子重力理論」)をつくる研究が進められています。
【ブラックホールの「七不思議」②】一度入ると、二度と抜け出せない
ブラックホールには天体としての「表面」はありませんが、「ここから先はブラックホールです」という「境界」はあります。その境界がブラックホールの「大きさ」を表しています。
境界とはいっても、「立入禁止!!」のようなわかりやすい目印があるわけではなく、もし、うっかり侵入してしまうと、二度と抜け出すことはできません……。
いったん境界を越えると、宇宙で最も速い光でさえも逃れることはできないのです。
正確にいうと、光が逃れられないのは、「空間がゆがんでいるから」です。じつは、ブラックホールのまわりでは、空間が強烈にゆがんでいます。
空間が曲がっていると光の進路も曲がります。ブラックホールの境界を越えた光は、「ゆがみまくった空間に閉じ込められて脱出できなくなってしまっている」のです。
困ったことに、ブラックホールから「光(電磁波)」が出られないということは、何の「情報」も届かないことを意味します。もし、ブラックホールに入って何か有力な情報をつかんだとしても、残念ながら外に伝える術はありません……。こうした理由からも、ブラックホールの穴のなかの様子は「わからない」のです。
ブラックホールの境界は、専門用語で「事象の地平線」といいます。この地平線の向こうでは、どんな出来事(事象)が起きているのかわからない、ということを意味しています。
時空がゆがみ、現在地で時の進みが変わる
【ブラックホールの「七不思議」③】時が止まる
ブラックホールのまわりでは、空間だけではなく、時間もゆがんでいます。
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