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「肺に先天性障害」の中学生が生前に敢行した旅 修学旅行に付き添うツアーナースたち

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 13時0分

特別な場所で特別な体験をするのが修学旅行だ。思ってもみないようなことが起こる。ツアーナースには、その場その場での臨機応変な対応が求められるのだ。

ツアー全体の体調管理がナースの役目

生まれつき、肺に障害のある吉田貴明は、家族と学校のバックアップもあり、自分も修学旅行に参加することを決めた。双子の弟・文哉も、もちろん大賛成してくれた。

2人がいるクラスにツアーナースとして帯同することになったのは、前出の馬場看護師だ。

「担任の先生と、事前にミーティングをして、疾患のことや、日々の生活の様子についての聞き取りをしました。2人が通う中学校は岐阜県にあります。修学旅行の行先は東京の浅草と千葉のディズニーランド。主治医の先生とも連絡を取り、もしものことがあった場合に駆け込めるように、関東にある病院も紹介しておいてもらいました。担当するクラスには、吉田兄弟以外にも、精神的に少し不安定な生徒もいて、そうした注意事項についても、事前に担任の先生と話をしておきました」

出発の日は、早朝から準備が始まる。事前に受け取ってある注意事項に改めて目を通し、まずは学校に向かう。学校にはすでにバスが到着している。顔なじみの学校職員や、バスの運転手、帯同するカメラマンなどと挨拶を交わしながら、さり気なく彼らの体調についても聞き取りをする。

「私たちは看護師ですので、医師の指示がなければ医療行為を行うことはできません。薬を処方することももちろんだめです。ただ、旅行者本人が持参している薬などについて、適切な服用を見守ることは可能です。女子生徒は、鎮痛剤などの薬を飲み慣れているケースもあるのですが、男子生徒はそうしたところにわりと無頓着です。それでも、旅先で急な頭痛などに襲われることがあります。そうした場合は、保護者に連絡を取って、以前に服用したことのある銘柄の薬を現地で購入し、飲ませることもあります」(馬場看護師)

ナースを頼りにしているのは、生徒たちばかりではない。引率する学校職員の体調に目を光らせるのもツアーナースの仕事だ。

「先生方は、修学旅行が終わるまでずっと緊張しっぱなしです。24時間体制で、生徒たちのことを見守らないといけません。そんなプレッシャーから体調を崩される方も、もちろんいらっしゃいます。幸い、これまで大事に至った例は私の参加したツアーにはありませんでしたが、私たち添乗看護師は職員の方々の体調にも目を光らせます」(馬場看護師)

「スプラッシュマウンテン、乗れるかな」

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