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「肺に先天性障害」の中学生が生前に敢行した旅 修学旅行に付き添うツアーナースたち

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 13時0分

中学校から、名古屋駅まではバス移動だ。生徒たちが、各クラスに分かれてバスに乗り込む。実際に、生徒たちの顔を見るのは、旅行の当日が初めてとなるケースがほとんどだ。生徒たちのリストを片手に、顔と名前を一致させる。

吉田貴明、文哉の双子の兄弟もきっちり確認できた。2人とも、体調に問題はなさそうだが、肺に障害のある兄の貴明は、荷物とは別に、小さなカートを引いてやってきた。中には酸素ボンベが入っている。

「このことについても、医師からの指示書がありました。貴明君は、激しい運動をしたり、緊張が高まったりすると、肺がうまく機能できずに、血中の酸素量が不足してしまうことがあります。そうした場合、酸素の吸入が必要になることもあるのです」(同前)

バスに乗り込むと、旅行会社の添乗員が、バスの運転手や帯同するカメラマンなどを紹介する。このときに、ツアーナースとして、初めて自己紹介することになる。

「名前と経歴を少し紹介して、いつでも気軽に相談してくださいね。といった感じで挨拶をします。ここで長々と注意事項を並べても、誰も聞いてくれませんからね(笑)」(同前)

バスは無事、名古屋駅に到着し、生徒たちは新幹線で東京に向かう。

「スプラッシュマウンテン、乗れるかな」

貴明はまだ少し不安そうだ。

「大丈夫だよ、ちゃんと作戦を考えているからさ」

双子の弟・文哉は笑って答えた。

「作戦ってなんだよ」

貴明は不思議そうに弟の顔を覗き込んだ。

「ま、到着してからのお楽しみだ」(後編に続く)

末並 俊司:ライター

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