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「肺に先天性障害」の中学生、弟と実現した修学旅行 「俺だってスプラッシュマウンテンに乗りたいよ」

東洋経済オンライン / 2024年9月30日 13時5分

とある高校の修学旅行に添乗したときの様子。生徒全体の様子をそれとなく観察する添乗看護師(京都駅中央口‐新幹線乗り場にて)

ツアーナース(旅行看護師)と呼ばれる看護師たちの存在をご存じでしょうか?

「最後の旅行を楽しみたい」「病気の母を、近くに呼び寄せたい」など、さまざまな依頼を受け、旅行や移動に付き添うのがその仕事です。

中学3年生の兄・貴明(仮名)は、生まれつき肺に障害を抱えながらも、ツアーナースと弟・文哉(仮名)の付き添いのもと、修学旅行へ行くことになりました。障害のせいで兄の体は非常に疲れやすい。そんな兄のために、弟がツアーナースと力を合わせます。(前編はこちら)

ツアーナースと臨床ナースの違い

東京駅に到着した一行は、浅草近くのホテルに移動し、それぞれの部屋にチェックインした。この日は移動だけで一日が過ぎた。夕食までの数時間は自由行動だが、吉田兄弟はホテルの中で過ごした。夕食はビュッフェスタイルだ。それぞれが好きなものを取って食べるのだが、アレルギーの問題を抱えた生徒も少なくない。

【写真で見る】旅行に付きそう、ツアーナースの様子

「食物アレルギーは、摂取状況によっては命に関わる事態につながりかねません。かといって、ツアーナースがすべての生徒の食事の状況をその場で把握するのは不可能です。食物アレルギーを持っている生徒は、事前に学校側と保護者の間で綿密に打ち合わせを重ね、どうしても必要な場合は、保護者がその子専用のお弁当を持たせたり、ホテルに特別に発注したりすることもあります」(馬場看護師)

ここで少しだけ、ツアーナースと一般的な医療現場で働くナースの違いを見ていく。

ツアーナースは医療従事者であり、サービス提供者でもある。どちらのスキルが抜け落ちても成立しない。ツアーの主役はもちろん旅行客だ。そこに、旅行会社の添乗員や、修学旅行であれば学校関係者など、さまざまな肩書を持つ人たちが参加している。ツアーナースから見ると、これらすべてが「お客様」だ。つまり、ツアーの最中、ナースは常に客前に立たされることになる。粗相は許されないのだ。

「一般の看護師からすると、思いもよらないことがクレームにつながりかねません」と馬場看護師は言う。

「これは別の会社のナースに聞いたクレーム例ですが」と前置きして、馬場看護師はこんなエピソードを明かしてくれた。

「ある学校の修学旅行に添乗したナースの失敗談です。朝食の時間が8時からだったのですが、そのナースは8時ちょうどに食堂にやってきて、そのまま生徒たちと一緒に食事を始めてしまったのです。これが後に大クレームに繋がりました」(馬場看護師)

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