「高齢者の交通事故」に目の問題が隠れている危険 視野障害を「自覚していない」人たちがマズい
東洋経済オンライン / 2024年10月2日 9時30分
視野が徐々に狭くなる緑内障。早期は自覚症状がなく、本人は発症に気づいていないことが多い。視野が狭くなっていることに気づかないまま車を運転すれば、事故を招く危険性はないのだろうか。
緑内障の人が運転する問題点やセルフチェックの方法について、東京大学医学部眼科学教室教授で、日本緑内障学会の理事を務める相原一医師に聞いた。
2023年の高齢運転者(65歳以上)による交通事故発生件数は4819件、発生事故全体に占める高齢運転者の割合は、15.4%(「防ごう!高齢者の交通事故!」警視庁交通総務課統計より)。
【緑内障チェックテスト】セルフチェックで見え方に問題があるか確認してみよう
2019年の18.1%からは減少しているが、高齢運転者が増え続けている現状もあり、高齢ドライバーが引き起こす事故が問題となっている。
高齢者の事故の一因は「視覚障害」
要因として、認知機能の低下による判断力の衰えや身体機能の変化による反応の遅れなどによって、アクセルとブレーキを踏み間違える、操作が遅れるといった点が挙げられる。
さらにもう1つ、大きな原因となるのが、視力や視野に問題がある「視覚障害」だ。視覚障害の原因疾患として最も多いのが緑内障で、3割近くを占める。
【緑内障チェックテスト】セルフチェックで見え方に問題があるか確認してみよう
普通運転免許の取得・更新には、「両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上」、または「片眼が0.3未満の場合は他眼の視野が150度以上で、視力が0.7以上」という視力の基準がある。しかし緑内障の場合、かなり進行するまで視力には影響が出ないことが多い。
■運転免許の取得・更新に必要な視力(普通免許の場合)
・両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上
・片眼が0.3未満の場合は他眼の視野が150度以上で、視力が0.7以上
また、道路交通法では「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある一定の病気」の場合、免許の取り消しや停止がなされるが、一定の病気の中に認知症は含まれるが、緑内障は含まれていない。
つまり、緑内障と診断されても運転は可能だ。緑内障は、視野が狭くなり、末期では視力も低下する病気で、高齢になるほど多く、60歳以上の10人に1人が発症している(「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告)。
「自覚していないケース」で事故
視野が狭い緑内障の人が運転することは、危険ではないのだろうか。相原医師は「緑内障と診断されている人が、事故を起こしやすいというデータはありません」と話す。
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