1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「高齢者の交通事故」に目の問題が隠れている危険 視野障害を「自覚していない」人たちがマズい

東洋経済オンライン / 2024年10月2日 9時30分

「“緑内障を自覚している人”は、視野のどの部分が欠けているのかを把握していて、それをカバーするために視線をよく動かしたり、首を左右にふったりして慎重に運転しますし、雨の日や夜間は運転を避けるなど、無理をしない傾向があります。むしろ問題となるのは、“緑内障を発症しているのに、それを自覚していないケース”です」(相原医師)

緑内障の推定患者数は500万人程度といわれているが、そのうちの9割程度が本人に自覚がない潜在患者だと考えられている(「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告)。

というのは、緑内障は、かなり進行するまで自覚症状がないため、コンタクトレンズ処方時の受診や健診などで指摘されない限り、発症には気づかないからだ。

確かに緑内障になると視野が欠ける症状があるが、一部が黒くなるわけではなく、かすむ程度なのでわかりにくいうえ、両目で見ると視野が欠けている部分を補えるので、気づきにくい。

相原医師によると、事故を起こして初めて緑内障だとわかるケースもあるそうだ。

「例えば運転業務を行う企業のドライバーが事故を起こしたときに、ドライブレコーダーで検証することがあります。普通なら事故を起こさないような状況で事故が起きた場合、ドライバー自身の問題が疑われます。企業側が事故を起こしたドライバーに眼科の受診を促したところ、緑内障だったというケースもあります」

緑内障は視野の中心から欠けることは少なく、主に鼻側の上方もしくは下方の一部から徐々に欠けていき、やがて上下ともにかけていく。基本的に緑内障の進行はゆるやかなので、視野の中心が欠けるまでには長い年月がかかる。

「下方の視野が欠けているほうが、左右からの車や人、物にぶつかりやすく、事故につながりやすいようです。一方、上方の視野が欠けている人は、信号や道路標識などを見逃す危険性があります」(相原医師)

緑内障の人の転倒リスクは4倍以上

このように同じ緑内障でも、どの部分の視野が欠けているのかによって注意点はさまざまだ。自分がどの部分の視野が欠けているのかを自覚していれば、顔ごと視線を向けるなどの対策ができる。

なお、運転に限らず、下方の視野が欠けている場合は、歩行時につまずいたり、転んだりしやすくなるほか、下りの階段を踏み外すこともある。緑内障がある人はない人に比べて、“4倍以上転倒しやすい”という海外の報告もある。

こうしたことを知っておけば、転倒などのリスクを減らすことができるだろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください