新井カープ「9月の悪夢」経営視点で見る根本原因 「急場しのぎ」の組織運営は遅かれ早かれ瓦解する
東洋経済オンライン / 2024年10月3日 17時10分
「広島、燃ゆ」。野球専門誌の表紙が、6年ぶりの優勝を前にして絶好調のチームをそのような言葉で表現してから1カ月、カープは見る影もなく逆方向に燃え尽きてしまった。
いったい何でこんなことになってしまったのか? いや、予兆はずっと前からあったのかもしれない……。
本稿では、野球好きなビジネスパーソンにも、そこまででもないビジネスパーソンにもわかるように、ビジネス的な視点から、「カープの歴史的大失速」を紐解いていく。
6年ぶりの優勝がスルリ…カープ、まさかの大逆噴射
暑さが一段落し、長い夏からようやく秋へと季節が変わり始めている。プロ野球の長いペナントレースも、セ・パ両リーグともに優勝チームが決まり、2日にはクライマックスシリーズ争いの結果も出た。
その中で、優勝争いとAクラス争いという、異なる次元の戦いを両方とも経験した珍しいチームが、広島東洋カープである。8月戦線を15勝9敗で終え、すわ6年ぶりの優勝かと期待が膨らんだものの、勝負の9月は何とセリーグ最多タイとなる20敗を記録。あれよあれよと転落し、2日に神宮で行われたヤクルト戦に3ー5で敗戦。CS進出の可能性が完全消滅した。
確かに、開幕前の下馬評を振り返れば、大きな補強もなかったことから評価は低く、高い順位の予想をする有識者は少なかったのも事実。しかし、「モチベーター」との評判が高い新井貴浩監督の下、現有戦力をやりくりしながら何とか9月頭まで首位を維持していたところからの急転直下には、鯉党の多くから落胆の声が上がっている。
果たして、なぜこんなことになったのか。カープファンである筆者は、本当に気になって考えた。そして、今回の大失速をビジネス的な側面から見ると、見えてくるものもあるのではないかと思い至った。
そこで今回は、組織に詳しい経営コンサルタントの横山信弘氏に、カープ大失速の要因とビジネスでもよくある失敗のパターンを聞いてみた。
絶好調→絶不調、背景には「急場しのぎ」の組織運営
8月までの絶好調から、9月に一気に転落したカープ。このような、ある日を境に崩れてしまう企業は、少なくないと横山氏。特にポイントとなるのが「急場しのぎ」の対応だという。
「基礎・基本がなっておらず、急場しのぎばかりでいると、ちょっとした風が吹いただけで組織は倒れてしまう。こうした基礎・基本はなかなか外から見えにくく評価も難しいので、おそろかになりがちだ」
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