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「聴き方」を変えたら部下が自分から動くように 「オンラインだと相談しにくい」その理由とは

東洋経済オンライン / 2024年10月4日 16時0分

話を伺っているうちに、「ああ、そうか」と納得したのが、その所長さんがお話をされているときの顔が、やっぱり怖いんです(笑)。

失礼ながら、ご本人に正直に「申し訳ないのですが、お顔が緊張感にあふれています」「お顔に圧を感じます」とお伝えしたら、苦笑されていました。

40代の男性の真顔は、若い子にしたら圧しか感じられません。

まず、お願いしたのが、「うなずいてもらうこと」でした。

社員とのミーティングはオンラインがほとんどだというので、オンライン上でコミュニケーションの練習をしました。

「コミュニケーションについては勉強した」と所長はおっしゃるのですが、実際にやってみると、相手の話を最後まで聴けず、話をかぶせてしまいます。

話すほうにしてみたら、話を受け取ってもらった感が得られず、会話の間(ま)がないので、なんとなく詰め寄られているような印象を持ってしまいます。要は、圧を感じてしまうのです。

「まず、相手が話をしたら1回うなずいて、間を空けてから次の話をしてください」

とお伝えしたところ、慣れるまでは「呼吸困難になりそうです」とおっしゃっていました。

「ちゃんと聞いてるよ」と伝えるサイン

ここからが面白いのですが、うなずいて話を聴く姿勢をお伝えしてから、何が変わったかって、社員よりも先に変わったのは、家庭での奥様の反応でした。

奥様の反応が、やわらかくなったそうです。

たとえば、家庭でパートナーが話しているのにスマホを見ていたり、背中を向けたりしていませんか。そうすると話す気がなくなりますよね。

「ちゃんと聞いているよ」というサインを見せるだけで、きっとパートナーシップも変わります。

当然、社員の反応も変わってきました。少しずつですが、社員が今、困っていることを話してくれるようになったのです。

たとえば、税務のアプリを使いこなさなければならないとき、やり方がわからない。そんなとき、今までだったら「わからない」「できない」と言えませんでした。

できないと言ったら無能だと思われそうで、とても質問することが許されないような雰囲気だったからです。

でも仕事をしはじめて間もないうちはわからなくて当然ですし、ミスだってあるでしょう。けれども、質問できないからそこで詰まってしまい、一番大事なところで辞めてしまう。つまり、告白できないまま辞めている状況が繰り返されていたことがわかったのです。

とにかくミスがあっても責めないことを徹底してもらいました。もし、わからないことやできないことを打ち明けてくれたら、「早めに教えてくれてありがとう」とみんなの前で言ってもらうようにしたのです。

すると、安心してしゃべれる空気ができ、問題点がどんどん浮き彫りになっていきました。社員が「実は〜」と打ち明けてくれるようになったのです。

そこで、そもそもアプリやソフトを使う際に説明不足だったことが明白になり、しっかり説明するようになりました。そうすると、なんと仕事の効率化にもなったのです!

みんなの前できちんと説明でき、その場で質疑応答もできるから、説明が1回で済むわけです。間を空けてうなずいているだけで、勝手に問題が解決していったのです。

所長さんはつくづく、社内の空気づくりが大事なのだと思い知ったといいます。

濱田 恭子:日本マインドワーク協会代表理事

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