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「内戦や武力衝突リスク」を左右する「3つの特徴」 2度目の紛争を回避した国の多くが持つ志向性

東洋経済オンライン / 2024年10月4日 14時0分

また選挙権自体が政治課題化している。共和党は少数派が不利になる条件を重ねて突き付けている。投票権法の強化は、有権者の抑圧を軽減し、制度への信頼回復に大きく寄与するだろう。

もう一つ重要な改革は、自動有権者登録(AVR)である。自動車局の実務を知る者なら誰でも、拒否しない限りは自動的に有権者登録される制度があるのも知っている。カリフォルニア、オレゴン、ワシントンなど、すでにAVRを導入している州では、投票率の大きな向上が見られる。政治参加を後押しし、民主主義向上のためにわれわれのなしうる容易な策である。

この策は極右の伸長にとって防波堤ともなるだろう─彼らの描く白人キリスト教国家は、少数派の権利を奪うことによっているわけだから。だが、全体としての体制強化は、穏健なアメリカ人の支持を獲得し、指導者の正統性への信頼を高める方向に働くはずである。

カナダとスカンジナビア諸国というお手本

アメリカはまた、世界的な民主主義後退の中で、その若返りを示すささやかな動きからも未来へのヒントを得られるかもしれない。カナダとスカンジナビア諸国がそのための手本ともなっている。

2015年、カナダでは、中道左派の自由党が過半数を獲得して以降、選挙権の再構築に注力している。2018年の選挙近代化法では、有権者識別要件を撤廃し、政党や独立系選挙運動への寄付を制限し、在外カナダ人のすべて(5年以上の国外居住の実態を持ち、帰国の意志を持たない者)にも投票権を拡大した。

また、有権者のプライバシー保護の強化とともに、選挙管理委員会への管理権限付与と海外からの寄付行為を禁止した。

さらには、Google、FacebookなどのSNSに対し、「デジタル政治広告登録書」を義務付け、誰が選挙に影響力を行使しようとしているか、市民にとってガラス張りにした。2020年、カナダは、フリーダム・ハウスによる報告書で、自由と民主主義の最高評価を獲得している。

バーバラ・F・ウォルター:カリフォルニア大学サン・ディエゴ校政治学教授

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