朝ドラ「おむすび」が"ちむどん再来"ではないワケ 「橋本環奈の無駄遣い」という心配も杞憂に終わる?
東洋経済オンライン / 2024年10月4日 19時5分
令和の現在も、疫病、戦争、天災、経済不安などに悩まされる中、そんなギャルの姿は多少の困難を乗り越える1つの生き方として、回を追うごとに令和の視聴者にフィットしていくのかもしれません。
第1週の結はギャルについて「嫌い」「今どき古い」などと言い切っていましたが、その意識がどのように変わっていくのか。また、夢を見つけ、ギャルを卒業してからも、そのマインドを持ち続けることで、どのように道を切り拓いていくのか。このあたりの描写も共感を集めるポイントになりそうです。
普通の人が笑い泣きする「人生賛歌」
「おむすび」を語るうえで、もう1つ重要な「食」というモチーフについてもふれておきましょう。
これまでも杏さん主演の「ごちそうさん」など、「食」を扱った朝ドラはありましたが、今回は栄養素や献立まで掘り下げることを制作統括の宇佐川隆史さんや根本さんが明言しています。
第1週から結の家族が営む「よねだ農園」のシーンが多く、色とりどりの野菜が登場。今後は食卓のシーンだけでなく、栄養素や献立にもスポットが当てられるシーンが増えていくのでしょう。
そして、「よねだ農園」を継ごうと考えていた結が栄養士になることで、その傾向が一気に加速するほか、さらに病気の人なども対象にした管理栄養士になって困っている人々を救う展開も推察されます。
栄養士という職業について、根本さんは、幼子の離乳食から学生の給食や学食、会社の社員食堂、病院での食事など、老若男女が対象の仕事であることを指摘していました。その意味で同じ「食」を扱ったドラマでも、栄養士の活躍シーンは飲食店の料理人以上にバリエーション豊かなのではないでしょうか。
根本さんは焼き鳥店の子どもとして育ち、調理師免許も持っているそうですし、「食」を扱う脚本家としてはベストに見えますし、栄養士としての活躍が描かれる中盤以降の物語が今から楽しみです。
番組名の「おむすび」には、食べるおにぎりだけでなく、「人と人を結ぶ」という意味も込められているそうです。また、震災当日について調査する中で出会った「比較的被害が少なかった丹波地域に住む女性たちがおむすびを握って被災地に届けた」というハートフルなエピソードが物語のきっかけになったことも明かされています。
当作には歴史上の偉人はおらず、登場するのはどこにでもいる普通の人ばかり。しかし、だからこそ、笑ったり泣いたりしながら、日常のささいな幸せを見つけて生きていく姿を描いた等身大の物語になるのでしょう。
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