1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ゼネコン界に舞い降りた天使「奥村くみ」誕生秘話 奥村組社長は「建設バカ」シリーズを推していた

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 8時0分

内心がっかりした奥村社長だが、若い人の意見・感性は重要と考え、「わかった、奥村くみシリーズでいこう」と決断した。

建設業の魅力をうまく発信

知られざるエピソードはこれだけではない。

広報担当の井戸田氏によると「最初の企画段階では森川さんとは別の俳優も候補に挙がっていた」という。ただ「森川さんはヘルメットやユニフォームの着用がOKだった。彼女が名古屋市立工芸高校のインテリア科卒業であることも親和性があると思った」(井戸田氏)そうだ。

奥村組の経営陣に具体的なCM案が提示されたのは、森川さんに候補が絞られた後であり、別の俳優候補が存在していたことは、奥村社長も東洋経済の取材当日(インタビューは2024年9月25日に実施)まで知らなかった。

奥村社長がテレビCM制作の際にこだわったのが、「大阪を本社とする会社のCMらしく、少し笑いの要素も加える」ことと、「建設業の魅力を発信する内容であること」だった。

大成建設で社長と副会長を歴任後、大和ハウス工業の副社長を現在務める村田誉之氏は、東洋経済のインタビューで次のように建設業の魅力を語ったことがある。

「私は建設業の魅力は大きく5つあると言っている。チームで多くの人と協力して仕事ができること。自分たちが作ったものが形として残ること。物作りのプロセスが楽しめること。お客さんの喜ぶ顔を見られること。そして仕事を通じて社会貢献できることだ」

制作サイドが村田氏の言葉を意識したわけではないが、奥村くみシリーズをくまなくみていると、村田氏が強調する建設業の5つの魅力が、ほぼ盛り込まれていることがわかる。だからこそ、ライバル会社の動きには批判的な姿勢でいることが多いゼネコンのベテラン社員も、奥村くみに親近感を持ち、抵抗感なく受け入れるのだ。

「来たー、現場」。憧れの仕事への就職を果たした奥村くみ。先輩社員に連れられて、初めて巨大な物流センターの建設現場にやってきた。むきだしの鉄骨。そびえるクレーン。思わず胸がときめく。そして絶叫してしまう。「好きだー」(奥村くみ篇第1話)。

子どものころから何かをつくるのが好きだった奥村くみ。建設中の物流センターに立ち、夕陽を見つめ、子どものころに砂の城壁や鉄骨の模型をつくったことを思い出す。現場を去る際に、鉄骨や床を見つめながらささやく。「また明日ね。また明日」(奥村くみ篇第2話)。

奥村くみは胸の内でつぶやく。「ひとりひとりの力がひとつになったとき、ヒトの力は想像をはるかに超える。どんな壁も打ち破ることができる」。そして力を込めて発する。「私たちは、チームの力を信じる」(私たちはチームだ篇)。

知名度が向上、採用面でも効果

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください