ゼネコン界に舞い降りた天使「奥村くみ」誕生秘話 奥村組社長は「建設バカ」シリーズを推していた
東洋経済オンライン / 2024年10月5日 8時0分
経営面でも、奥村くみシリーズの効果は大きかった。奥村組は本社を構える関西では高い知名度だが、関東では「奥村組の名前を知らない取引先も多く、なかなか受注につながらないこともあった」(奥村社長)。
調査会社を使った同社の独自調査によると、CM開始前は関西での知名度(会社名の浸透度)は約50%だったが、現在は70%弱まで上昇している。一方、関東では2017年時点でおよそ30%でしかなかった。だが、現在では「倍ぐらいまで上昇した」(同)という。
採用面でも効果はてきめんだ。人手不足を背景に新卒の採用競争は激化する一方だが、奥村組はここ数年、年約140名の新卒採用の枠を順当に埋めている。「奥村組のブースはいつもにぎわっている」と準大手ゼネコンの採用担当者がうらやむほど、学生向けの就活ブースもつねに活気がある。
ただし、若手社員の定着率となると課題が残る。新卒社員の3年後定着率は直近で「85%程度」(井戸田氏)。60%台のゼネコンもあることと比較すると健闘しているものの、離職率が1桁台のスーパーゼネコンには見劣りする。
若手の定着率向上は、建設業界全体の課題でもある。ゼネコン各社は華やかなCMの残像が刻まれているうちに、待遇のさらなる改善や働き方改革を急ぐ必要がある。
梅咲 恵司:東洋経済 記者
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