1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

モスが始動「5年で100店舗」狙う新業態の"懸念点" 駅ナカにジューススタンド、味も普通に良い、が…

東洋経済オンライン / 2024年10月5日 9時40分

このような流れから、モスは今回のような新業態を意欲的に進めているといえるが、筆者がこれらの事業展開について興味深く感じているのは、その展開がこれまでのモスの「理念」とは離れていないからである。いわば、業態としては新しくても、「それをモスが行う意味」をしっかりと感じられるものなのである。

元々モスバーガーは、「人間の手作り」にこだわってきた歴史がある。マクドナルドなど他のチェーンが行ってきたように商品の作り置きをせず、その場で一から手作りしていることはモスのウリの1つだ。

チェーンなのにまったくチェーンらしくないオペレーションだが、創業者・櫻田慧の自伝などによると、最初はタマネギなどもその場で切っていて、櫻田の目からはとめどなく涙が流れていたらしい。その様子は、ほとんど個人経営店のようだ。もちろん、今ではそこまでではないけれど、この「手作り」にこだわることは続いている。

「人間性の重視」などという大げさな表現を使うと、「それは筆者個人の考えでしょ?」と思う人もいるかもしれない。しかし、1970年代はこういった思想を持ってスタートした企業は実は少なくない。

例えば東急ハンズ(現ハンズ)は1976年に、1号店である藤沢店を出して始まったが、「手の復権」というコンセプトがあった。戦後、日本が豊かになったことで訪れた、大量生産・大量消費の画一的な生活から、消費者1人ひとりが主体性を取り戻そう……という意味合いである。

話をモスに戻そう。「機械」ではなく、人の手によるこだわったものをーー。その「人間性の重視」ともいえる精神を、モスは今日まで大事にしてきたのだ。そしてそれは、必然的に「健康に良いもの」や「環境に良いもの」といった方向性を導き出す。

そう考えると、今回のジューススタンドでの「規格外野菜を使ったジュース」といったエシカル消費の方向性も、モスのこうしたブランドとマッチするものだろう。

あるいはカフェ業態「山と海と太陽」では、「山小屋をイメージした内装で、ひと時のやすらぎを与える居心地の良い空間に仕上げた」というが、やはり、ある種の「人間性」がそこには現れている。

文化事業にも力を入れてきたモス

モスのこうした「人間性の重視」は、文化事業への積極性にも表れている。

例えば、今年のモスで話題になったことの一つに「モスレコーズ」の設立発表がある。

モスレコーズでは、全国のモスバーガー店舗で働くスタッフを対象にオーディションを行い、最優秀者に対して、このレーベルからのデビューを含め、ミュージシャンとしてのデビューをバックアップするという。人間の手仕事を応援する精神が見える。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください