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その接待、1万円が「経費で落ちるか否か」の分岐点 「2024年度税制改正」を踏まえた経理上の留意点

東洋経済オンライン / 2024年10月7日 12時0分

税抜経理を採用している場合には消費税を含めない金額、税込経理を採用している場合には消費税を含めた金額で、1万円以下かどうかを確認します。

税抜経理を採用しており、飲食費の支払先がインボイス発行事業者でない場合や、インボイスの保存ができない場合には、その支払金額から消費税の金額を区分して分けることなく、1人あたりの支払総額で1万円以下かどうかを判断することになります。

ただし、2026年9月30日までは、消費税額の80%を控除できる経過措置により、税抜金額に消費税額×20%を加えた金額で判断することになります。税込経理・税抜経理の経理方法、税込飲食費やインボイス保存の有無別に、1万円基準の判定内容を図表5にまとめています。

税抜経理を採用している法人の場合、飲食費の支払いに関するインボイスの保存がない場合であっても、1人あたり税込飲食費が1万784円以下であれば1万円基準の対象となります。

(6)適用時期

飲食費の1万円基準の適用は、2024年4月1日以降に飲食等の行為があったものが対象です。これは法人の事業年度に関係なく、2024年4月1日以後の飲食費について適用されます。そのため事業年度が2024年4月1日をまたぐ法人の場合は、5000円基準を適用する飲食費と1万円基準を適用する飲食費の双方を管理する必要があります。

飲食費の正しい区分が「納税負担の軽減」につながる

交際費における飲食費の取扱い

(1)飲食費を区分し有利な選択を

1万円基準や50%損金算入を適用するのはあくまで法人の任意ですが、適用しなければ、資本金1億円以下の中小法人で800万円の定額控除限度額を採用するケースを除き、飲食費は損金不算入の取扱いになります。

そのため、1万円基準や50%損金算入の制度を正しく理解し、交際費等としての飲食費を正しく区分することが、自社の損金の範囲を増やし、納税負担を減らす有利な選択となるわけです。

(2)飲食費の範囲

交際費等のうち飲食費に関して有利な選択をするためにも、まずは対象となる飲食費の範囲を確認しておきましょう。

飲食費とは「飲食その他これに類する行為のために要する費用で、社内飲食費を除く」とされています。自社の従業員が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」に加え、図表6の費用も飲食費に該当します。

ただし、社内の従業員やその家族だけのための飲食費は社内飲食費とされ、交際費における飲食費の範囲から除かれるため区分しなければなりません。また、次のような費用は交際費等ではあるものの飲食費に該当しないため、飲食費との区分が必要です。

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