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父急死、母子家庭から私大医に進んだ彼女の顛末 『ブラック・ジャック』に憧れた結果とその費用

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 10時0分

ところで、間黒男(ブラック・ジャックの本名)は学生時代、ダーツやアルバイトに興じていた。そこで、杉村さんは勉強はもちろんのこと、遊びにも力を入れた。

「中学校では囲碁将棋部、高校では放送部や文芸部、大学ではテニス部という具合にいろいろな部活で活動し、アルバイトもしました。ゲームも好きでしたし、マンガやアニメもよく見ていました。文化祭や体育祭、合唱祭などの学校行事も全力で楽しんでいました。

というのも、勉強だけをしてきた人間よりも、いろいろなことを体験してきた人間のほうが、人に寄り添えると思ったからです。それに、ブラック・ジャックも人間性に溢れる人物として描かれていますからね」

すべて1次試験落ちで浪人を決意

とはいえ、家族も高校生の進路相談まで「まさか本当に医者になりたいんだ」とは思っていなかったという。そして、当然のことながら、現実的に医学部進学へのハードルは高かった。

「軒並みE判定でしたね。国立も私立も関係なく、なんとか引っかかりそうな大学は受験しましたが、すべて1次試験落ち……。ただ、一度だけC判定を取ったことがあったため、母も『行けるかもしれない』と考えてくれて1浪させてもらいました」

こうして杉村さんの浪人生活がスタート。中学・高校のときは「医学部はお金がかかるし、自分の力で勉強しても学内では十分以上の学力だった」という理由で学習塾は3カ月で辞めたが、今回ばかりは人の手を借りなければ勉強できなかった。

「医学部専門の予備校は、どこもお金がかかります。1年で200万円だったり、場合によっては500万円ぐらいかかることもあります。さすがにそういった予備校に通うのは金銭的に厳しいため、都内で年間の授業料が100万円を切る塾を見つけました。破格の値段ですよね。

実際に見学に行ったところ、小さな予備校だったのですが、わたしと母に向かって『今の受験方法ではダメだ! もっと本質を掴んだ勉強をさせるべき!』と、力説してくれました。わたしも詰め込み勉強ではなく、医者になってからも生かせるような勉強方法を教えてくれるところがいいなと思い、そこに通うようになりました。まぁ、一番の決め手は授業料の安さですけどね(笑)」

父親の残してくれた多少の遺産もあり、勉強に打ち込めた杉村さん。学力もメキメキと向上していき、予備校の講師に「もう1年浪人したら国立も目指せるよ」と言われたほど。

しかし、彼女はもう1年勉強するよりも「早く医者になりたい」という思いから、私立大学の医学部に照準を合わせた。その結果、家から通える距離の私立大学の医学部に合格することができた。

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