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父急死、母子家庭から私大医に進んだ彼女の顛末 『ブラック・ジャック』に憧れた結果とその費用

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 10時0分

そんな、茨の道を選んだ杉村さんだが、奨学金返済を見越して、そのほかにも準備はしてきた。

「第二種奨学金を20年かけて返済すると、利子の関係で返済総額が1000万を超えると知ってびっくりしてしまいました。借りたのは864万円ですが、『思ったよりも高くついたな……』と思いましたね。

そのため、繰り上げ返済ができるように、学生時代からアルバイトで貯金した分と4月から毎月15万円前後、夏ボーナス分すべて貯金して、今は200万円貯まっています。これを来月一気に『ドン!』と返したいですね。

第一種奨学金とあしなが育英会は無利子のため、特に気になりませんが、今後は奨学金返済と貯金のバランスをうまく考えていきたいと思います。例えば、勤務地的に将来的に自動車が必要になるのですが、車のローンよりも奨学金の金利のほうが低いんですよね。

そのことを考えると『貯金を繰り上げ返済に使うより、車の頭金にしたほうがいいのでは?』と思ったりしています。とはいえ、早く第二種奨学金を返すに越したことはありません」

これから1200万円を返していくと考えると先の長い話だが、それでも杉村さんは奨学金のおかげで、子どもの頃からの夢だった医者に一歩近づいた。

ただ、医学部の学費が高いのは仕方がないとはいえ、その壁を越えるためには、1000万円以上の奨学金を借りなければならない現状を、どう思っているのだろうか?

「すべての奨学金を無利子で借りられるように!」

「わたしは奨学金の力で医学部に通うことができたため、『夢を叶えられる』という意味では、奨学金は必要な制度だと思います。一度も後悔はしたことありません。ただ、ここまで利子を付ける必要あります?(笑)

例えば、第二種奨学金を『変動性』にすればもっと安くなるという話も聞きますが、『変動性』や『固定性』などと専門用語を並べて、受験に焦る高校3年生に『ほら、選べ』というのはあまりにも酷だと感じます。

しかも、前出の車もそうですが、住宅ローンなども奨学金の利子とあまり変わらないんですよね。国がやっている施策なのにですよ? そのため、奨学金に0.905%(※杉村さんの場合。人によって異なる)もの利率を掛けているのは、まったくもって政府の怠慢だと思います! 

わたしは途中で給付型奨学金もいくつか給付してもらえたのが救いでした。『すべての奨学金を給付型に!』とは言いませんが、『すべての奨学金を無利子で借りられるように!』とは声を大にして言いたいですね。やはり、第二種奨学金は制度としておかしいと思います」

これは筆者も常々感じていることだが、なぜ「人命を救う」職業に就こうとする者たちに、国はまったくサポートしないのかということである。このままでは、1000万円以上の奨学金を抱えた医者たちが、ゴロゴロと溢れかえる未来もあり得るのではないか? 奨学金制度は重要ではあるが、そのあり方に変革が求められている。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。

千駄木 雄大:編集者/ライター

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