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父急死、母子家庭から私大医に進んだ彼女の顛末 『ブラック・ジャック』に憧れた結果とその費用

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 10時0分

「本当は国立に行きたかったのですが、家から遠い大学だとひとり暮らしになりますし、そうなると2年目の浪人費、6年間の学費と生活費でかかる費用、1年多く働いて稼げる生涯賃金など考えると大きく変わらないんですよね。それに卒業後も実家の近くで勤務することができるなど、将来のことを考えると、その大学がベストな選択でした」

6年間でかかった学費は3770万円

無事に医学部生になることができた杉村さんだが、問題はお金である。医学部は6年間通って3000万〜6000万円という多額の学費がかかるというのがデフォルトだ。

「わたしの大学も1年目で1070万円、2年目以降は540万円、最終的には3770万円はかかりました。そこで、祖母から1500万円を無課税で生前贈与してもらい、父親が残してくれた1000万円の遺産を使うことにしました。そして、残り1200万円をどうするか……。ここで、奨学金を借りることになります」

条件は揃っているため、杉村さんは第一種奨学金(無利子)を満額で借りることができた。総額203万円。そして、第二種奨学金(有利子)も満額864万円借りた。私立医学部生であれば特別増額分をさらに借りられるそうだが、増額分は返済時の利子が高く設定されているため断念した。

「そして、2年生のときにあしなが育英会が給付型奨学金を始めたということを知り、父を亡くしたわたしは384万円を給付してもらえることになりました。ただ、これは全額返金不要というわけではなく、毎月8万円のうち3万円は給付で、5万円を将来返していくというシステムでした。

また、幸いなことに国の給付型奨学金も始まり、わたしの家は非課税世帯だったため、194万円を給付してもらえました。これで1600万円は確保できたので、なんとかやっていけるだろうという気持ちになりました」

ただ、それは同時に将来、給付型奨学金を除いた1200万円以上(利子を含めた最終返済額は1296万円程度)の返済生活が待っているということにもなる……。また、相当な覚悟を持って大学に通う杉村さんと異なり、同級生たちはモチベーションが低かった。

「熱意がない学生は思ったより多かったですね。わたしのように本気で医者になりたいのは1割程度、6割は『家族が医者だから』、残りの3割は『成績がよかった』から医学部に通っていた印象です。それはそれで、大学側がモチベーションを上げるために大変そうでした」

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