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アサヒ「キンプリいじり」便乗は何がマズかったか 企業がSNSで活用する"ネットミーム"の落とし穴

東洋経済オンライン / 2024年10月8日 10時0分

また、「手が震える」という一文が、アルコール依存症を想起させ、酒類メーカーの投稿として不適切だという声もあった。

アサヒビールは、投稿の翌日に当該投稿を削除し、「2024年10月2日21時のポストにおいて、配慮に欠けた表現がございましたので、当該ポストを削除させていただきました。ご不快な思いをおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます」と謝罪した。

企業が積極的に活用する“インターネットミーム”

筆者もそうだが、多くの人は、削除と謝罪がニュースになってから知ったように思うし、報道を見ても、何が起きていて、何が問題だったのか、すぐには理解できなかったように思える。

それゆえに、「削除する必要はない」という声も少なからず見られた。しかし、この投稿はやはり適切ではなかったと思うし、早々に削除して謝罪投稿を行ったことは、事後対応としては適切だっただろう。

今回のような「炎上事件」は、多くの企業が直面してきたことであるし、これからも起こしかねないことだ。いま一度振り返って学ぶべきところは大きいように思う。

最近、「インターネットミーム」という言葉がよく使われる。

「ミーム(meme)」とは、生物学者リチャード・ドーキンスによる、英語の「gene(遺伝子)」と、ギリシャ語「mimeme(模倣)」を組み合わせた造語だ。ミームは、模倣によって人から人へと伝達し、増殖していく文化情報や文化遺伝子のことを指している。

そこから発展して、インターネットを通してさまざまな人が模倣して広がる文化や行動のことを、「インターネットミーム」と呼ぶようになった。

インターネットミームは、インターネットユーザーが生み出し、広げるのが一般的だが、そこに企業・自治体・団体も関わるようになっている。現在では、インターネットミームを有効活用して、宣伝や広報活動を行う「ミームマーケティング」という言葉も生まれた。

日本だけでなく、海外の企業も、積極的にインターネットミームを活用した広告を制作したり、SNSの投稿を行ったりしている。

今回問題になった「キンプリ構文」のような「○○構文」もインターネットミームのひとつと言っていいだろう。

「コナン構文」を活用しウケた企業

都知事選の際には「石丸構文」、自民党総裁選の際には「進次郎構文」など、候補者の独特の語り口や言い回しがインターネット上で真似られて、拡散したことは記憶に新しい。

企業が政治や政治家をネタにするのはリスクが高いが、元ネタがメディアによるものや一般人の場合は、企業が相乗りすることがある。

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