アサヒ「キンプリいじり」便乗は何がマズかったか 企業がSNSで活用する"ネットミーム"の落とし穴
東洋経済オンライン / 2024年10月8日 10時0分
中でも人気漫画・アニメ「名探偵コナン」の下記のようなセリフは、SNS上でさまざまな改変が加えられて流通している。
歩美「どうしたの? コナンくん」
コナン「千円札でタバコ一個… 妙だな…」
この「コナン構文」(?)は2016年に流行ったことがあり、多くの企業がSNS投稿に利用した。例えば、製菓会社のギンビスは、同社の公式アカウントから下記の投稿をしている。
歩美「どうしたの?コナンくん」
コナン「あの人、たべっ子どうぶつとしみチョココーンを買っているのにギンビスは知らないと言っている…妙だな」
また、シャープのXアカウントもこの構文に乗っかり、以下のような投稿をしていた。
歩美「どうしたの? コナンくん」
コナン「あのメーカー…コンピュータにラジオつけてテレビつけてカセットつけて放電プリンターつけただと…妙だな」
弊社垢「…妙だな」
漫画やアニメのセリフは、日本では以前からネットミームとして多くの話題が流通している。
「天空の城ラピュタ」がテレビで再放送されるたびに、滅びの呪文である「バルス」というセリフをSNSに投稿する「バルス祭り」が起きている。2013年には1秒間に14万投稿がなされ、Twitterの世界最高記録を更新した。
以前は、企業の公式アカウントも多数、これに参加して、「バルス祭り」を盛り上げていた。
インターネットミーム活用の「2つのリスク」
10年ほど前は、企業のSNS運用はさほど重要視されていなかったため、「中の人」の属人的な対応に任せることも多かったのだが、最近はマーケティング戦略に基づいて運営、投稿を行うことが多くなっている。
以前なら企業アカウントもバルス祭りに参加してみたり、日常のちょっとした話題をSNSに投稿したりしていたが、最近は、「会社の宣伝になっているのか?」「商品は売れるのか?」といったことが重視されるようになっている。
一方で、企業が「新商品を発売しました」「新CMを放映します」と投稿したところで、よほど話題性がない限りは、多くのSNSユーザーは注目もしてくれなければ、シェアもしてくれない。
そこで、企業のSNS運用担当者は知恵を絞るわけだが、常に新しいアイデアが生まれるわけではない。そうした際に、インターネットミームに便乗するというのが一つの方法として考えられる。
ところが、インターネットミームの活用は、うまくいけば広くシェアされる一方で、炎上するリスクも高い。つまり、ハイリスク・ハイリターンの宣伝術である。企業のインターネットミームの活用は、以下のようなリスクがある。
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